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60 到着!

どうぞよろしくお願いします。

 夕方にはレーニアの街に入り、城へ向かう。


「こうやって馬で移動するのも楽しいな。

 辺境伯爵領、馬で移動すれば、魔物にも遭遇しにくく楽じゃないか?」


 カイエンの言葉にミレーヌはぎゅっとしがみついて笑う。


「まあ、そうなんだけど。

 馬もなかなか貴重だし、見回りも兼ねて魔物討伐だね」


「そうか、なら、馬宿みたいな制度を作ってもいいかもな。  

 物流がスムーズになると思う」


「馬宿?」


「村や街ごとに馬を利用した荷物や人を送迎する仕組みだよ」


「兄様に話してみればいいかも」


「うん……。あの、あんまりしがみつくと……」


「うん?

 きつかった?」


「いや、その……、いや、いいんだけど、いや、正直に言うと、ミレーヌの胸が、すっごく、その、わかるっていうか。その」


「胸?」


 カイエンが頷いたのがわかった。

 ミレーヌはニヤッと笑ってさらにしがみつく。


「……! 聞いてました?」


「ふっふふ。既成事実」


「これは既成事実とは言いません!」


「えー、もう私の胸を堪能したということには?」


「何言ってるんですか!? なりません!

 これぐらいじゃ足りません!」


 カイエンの言葉に逆に赤くなってしまうミレーヌ。


「急に黙らないでよ。不安になる」


 カイエンがボソッと言うとミレーヌはまたぎゅっとしがみついた。

 カイエンが言った。


「結婚の日取りを決めよう」


「えっ? まだ早くない!?」


「だって、ミレーヌの胸を早くもっと堪能したいですから!」


「……ちょっと待って、私達、かなり恥ずかしい会話を……」


「ミレーヌが先に仕掛けてきたんだろ!」


「いや、こんなことになるとは……」


「少々生まれたのが早いからって、大人ぶらないで。

 自分でやって、恥ずかしがってたら……」


 カイエンが急に黙ったのでミレーヌは自分のおでこをカイエンの首と後頭部の間くらいにぐっと当てた。


「いや、そういうミレーヌもかわいいからいいや」


「カイエンには敵わないな。ふふふ」


「それはこっちのセリフです」


 このふたりは何やってんだ……。



 城に到着し、中庭まで馬と荷馬車と馬車を入れる。


 レイオス辺境伯爵ゴードンと夫人であるケリーが出迎える。

 マリアがいないのは、後できちんとした場を設けるということか。


「エドワード王子、ようこそいらっしゃいました」


 臣下の礼を取るふたりにエドは微笑んだ。


「正式に通達して領地に入ったのではないから、申し訳ない。

 それでも、招待して頂けてうれしいよ。ありがとう。

 世話になる。これは正式にということで、侯爵の方から王都へは通達を出してもらうので、よろしく頼む」


「は、ジョナサンやミレーヌの友人として、お迎え致します。

 ご自由にお過ごし下さい」


「ありがとう」


 マリオン侯爵はゴードンとは顔見知りのようで、ケリーが「どうぞこちらに」と侯爵家の面々とエドワード王子を城の中へ招き入れて言った。シャルルが少し迷ったが、王子の方について行ってしまった。

 辺境伯爵とジョナサンが残された公爵に対応して礼をした。


「エイルズワース公爵、招待に応じて頂きありがたい。

 なにぶん辺境ですので、足りないと思われることはありましょうが、その時は遠慮なく申し出て頂ければ。

 どうぞ、御家族でお寛ぎ下さい……?」


 ゴードンがそう言いながら、公爵と娘のセシル嬢しかいないことに気がつき、首を傾げる。

 ジョナサンが進み出て「お疲れなので早く部屋に。公爵もセシル嬢もそれぞれおひとりの部屋がいいでしょう。セシル嬢にはこちらから専属のメイドをつけることにしますのでご安心を!」と父であるゴードンに目配せする。


 公爵がこほんと咳払いして「招待と御配慮、感謝する。それで私にも誰か従者を付けて頂きたい。犯罪など起こさない優秀な者をね」と言った。

 

「ああ、これは失礼しました。それでは我が家の者でよろしければ、正直な者を手配致します。

 それぞれの部屋へ、案内を!」


 公爵とセシルが城の使用人にいざなわれて城の中へ入って行った。


 そこへケリーが戻って来た。


「お帰りなさい!

 ミレーヌ、シーラ、コーラス、カイエン!

 ジョナサンもご苦労様でした!」


 ゴードンが「伝えたのか?」と一言聞いた。

 ケリーは苦笑を浮かべて答えた。


「はい、マリオン侯爵とエドワード王子達の方へはお伝えしました。

 ジョルジュ第3王子がこちらに、レイオス辺境伯爵領に向かっていることをね」


読んで下さり、ありがとうございます。

うふふ、カオスですね。


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