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56 おっ、これは!?

どうぞよろしくお願いします。

 カイエンが馬から下りたところにミレーヌが駆け寄った。


「ね! 次、私がエド様の後ろに乗っていい?」


「どうして?」


「いや?」


「いや……、うん、ちょっと嫌だけど、理由があるんだろ?」


「うん、シーラと兄様と話をして欲しくて」


「シーラとジョナサン?

 ……そういやシーラ、少しジョナサンの前だとおとなしい……か?」


「うん、シーラ、兄様のこと、初恋っていうか、憧れっていうか……。

 気にはしてると思う。

 でも、兄様も兄様で……」


 カイエンは頷いた。


「だから、話し合わせたいんだな。

 ん、なら、わかった。

 エド様はミレーヌが俺の婚約者だってことはわかってるから大丈夫だろ……」


「ありがとう、カイエン! あ……」


「なに?」


 ミレーヌが少し恥ずかしそうに、でも言わなきゃという感じで言った。


「レーニアに着いたら、ケーキ食べに行こうね。というか連れてってね。

 前に誘ってくれたのに、行ってないから……」


 カイエンもその時のこと、ふたりで気持ちを確かめ合った時のことを思い出して赤くなった。


「うん……、楽しみにしてる」


「うん!!」


 ミレーヌがシーラの方へ駆けて行った。

 ジョナサンがカイエンの所へ来た。


「すまないな。

 ミレーヌに言われたよ。

 そばで見ている方がいろいろ気がつくこともある。当事者の方が見えていないことがあるというようなことをね。いや、見ないようにしている、というか……」


「ジョナサン……、兄様は」


「まだ、兄様はやめてくれよ。ジョナサンでいい!」


 カイエンは苦笑してから言った。


「コーラスとミレーヌのこともあって、シーラとは?」


「う……、まあね。

 コーラスの気持ちは、ミレーヌは気がついていなかったけれど、我々はなんとなく気がついていたからね。 

 カイエンとの婚約もそれまでは正式でもなかったし。こちらとしては曾祖父母の言い出した約束が生きているのか半信半疑だったし」


「すみません」


「いや、ミレーヌのあんな乙女なところが見られるなんて、想像以上に君達は相性というか、いいんだな、羨ましいよ」


「でも、大変でしたよ、ミレーヌは自分の気持ちよりシーラを俺に勧めてきたり、とんでもない誤解や思い込みをしたり……」


「みたいだな。私に自分のようにはなるなと言ってきたよ。

 そう言えるのは……、今が信じられるからだろう。良かったよ」


 そこへミレーヌがシーラを連れて戻って来た。


「次はシーラと私が交代だから!」


「交代?」


 シーラは少し困った表情だ。


「私の馬の後ろは、そんなに嫌かい?」


 ジョナサンが微笑んで言うと、シーラは「いや、そういうわけじゃ……」と目を伏せた。


 いつものシーラらしくない。

 カイエンも『お、これは!?』と思った。


 シーラとジョナサン。

 ありえない組み合わせではない。

 勇者アレックスと聖女マールの血を引くジョナサンと、聖騎士アルファードの血を引くシーラ。

 辺境伯爵家の後継息子と隣の領地の伯爵令嬢。

 ふたりとも聡明で人あたりもいい。


「アルファードもマールに恋していたんだろうか……」


 カイエンは呟いた。

 エドがミレーヌに話し掛けている声が聞こえた。


「レーニアについて教えてくれ! 楽しみだな!」

読んで下さり、ありがとうございます。

『おっ、これは!?』ですね。

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