55 兄と妹
どうぞよろしくお願いします。
「とにかく次の休憩で、シーラと私、交代するから!」
ミレーヌの言葉にジョナサンが笑う。
「カイエンがどう思うかな!?」
「えっ!? うーん。カイエンはちゃんと話せば大丈夫だと……」
「そうかな? それこそ……、まあ、いいけど」
「何? その『いいけど』が、不穏過ぎる……」
出発をしてしばらくするとミレーヌがまたジョナサンに話し掛ける。
「そういえば公爵はどんな感じ?」
「あ、最初は怒り狂っていたけど、まあ夫人に裏切られたことにだな。
でも、今は金を持ち逃げされたと言い出してる。
たぶん、もう関係は破綻していたんだろうな……。
バルドに聞いた夫人の宝石の話も確認してみたが、公爵は知らなかった。
かなり前から駆け落ちを計画していて、大きめの街で宝石を換金しておく必要があったのだろう。
セシル嬢のことだけが気がかりでなかなか実行に移せなかったというところか」
「……宿でセシル様と離れられたからか」
「……そっちこそ、コーラスはもういいのか?」
「コーラス? 何?」
「お前こそ気がついてないだろが!
何が『ずっと見てきた』からだよ」
「何? はっきり言わなきゃ、わかんないよ!」
「……コーラスはずっとミレーヌのことが好きだったと思うぞ」
「……あれで?」
「そういう恋だってあるってことだよ」
「どういう恋だよ!?
まあ、シーラがモテモテなのはわかった」
「は?」
「ジョナサンとエドワード王子か……。
意地張ってると取られちゃうよ、シーラ」
ジョナサンがちょっと苦しそうな表情をした。
後ろにいるミレーヌには見えない。
「私もね。カイエンが好きなのはシーラじゃないかって、誤解して……、変なことしちゃったから、わかる。シーラが兄様のことを好きなんだろうなとわかっているのに、それでもカイエンが好きなら、お似合いかなとか変なこと考えてさ……。
兄妹だね。同じようなこと考えてる」
「そんな楽しそうなことがあったのか!」
「楽しいって! ひどいな」
「まあ、カイエンと仲良くやってるみたいで安心したけど」
「あ、話題を逸らさないでよ!!」
「休憩に入るぞ。
カイエンにちゃんと説明して来いよ!」
「言われなくても、わかってるよ!!」
道が広くなり、馬車が停められる場所に来ると、先頭のジョナサンは手を挙げて、休憩の合図をした。
馬が止まるとミレーヌは軽やかに馬の後ろから降りて、他の馬が到着するのを待った。
読んで下さり、ありがとうございます。
ジョナサンにはシーラに対する『妹』以上の気持ちはあるようですね。
でも『幼馴染』、コーラスがミレーヌを好きだということなどなど、いろいろお互いに思うところがあり、素直になれていないというところでしょうか。
エド様、当て馬ってやつですか!?




