53 駆け落ち
どうぞよろしくお願いします。
街の宿に入れて、その日の夜はセシルとミレーヌとシーラと3人部屋で過ごしていた。
フランソワーズも同じ部屋で、安心したようにセシルのベッドで寝ている。
それだけ、公爵家の馬車の中は雰囲気がピリピリしていて落ち着けなかったのだろう。
「ミレーヌとシーラは冒険者なのよね!
これからレイオス辺境伯爵家に招待されているけど、私専用のメイドがいなくて。
旅の間だから必要ないと言われていたのだけれど、辺境伯爵家に逗留するのだから、必要よね?
ふたりとも私のメイドになってくれないかしら!
お母様にお願いしてみる!」
シーラとミレーヌは顔を見合わせた。
公爵もだが、セシルも本当のことにまだ気がついていない。
ミレーヌが話し出す。
「……ごめんなさいね。セシル様。
私達は今は冒険者だけど、実はシーラは貴族出身でもあるのです!」
シーラがびっくりしてミレーヌを見る。
あなただって貴族令嬢でしょうが!?
セシルがうれしそうにシーラを見る。
「シーラは貴族令嬢なの!
素敵!!
私、令嬢のお友達っていなくって」
「いない?」
ミレーヌは首を傾げた。
貴族の家では親戚や親が友人という家とは幼い頃から遊ばせ、7~8歳くらいから近しい家同士で子ども達を誘って遊ばせたりが増え、気の合いそうな友人や婚約者候補を探す。10歳になると他家のお茶会などにも正式に招待されるようになる。
エイルズワース公爵家が傾き始めたのは、セシルがちょうど10歳前くらいからか……。
そのあたりで社交を縮小したのかもしれない。
自分達はお茶会を開かず、招かず。しかし、ジョルジュ王子の参加するであろうものだけ狙って参加するという自分勝手な行動をしていたら……。繋がっていた他家からも嫌がられ、睨まれるようになってしまったのでは……。
セシルのせいではない。セシルとジョルジュ王子をくっつけようと画策していた公爵のせいなんだろうけども……。
「辺境伯爵家にもセシル様と同年代の令嬢がいらっしゃいますよ。
きっといいお友達になれるでしょう」
ミレーヌの言葉に喜ぶセシル。
「楽しみだわ!」
そして、翌日、とんでもないことが起きていた。
朝から、公爵と夫人の部屋が慌ただしい。
ミレーヌはそれに気がつき、自分達の部屋のドアを少し開けて様子を窺う。
すでにジョナサンや騎士が駆け付けているのだが、公爵が手紙のような物を振り回して「捕まえてくれ!」と叫んで部屋から出ようとして戻されている。
ミレーヌが部屋から見ていることに気がついて、ジョナサンとシャルルがやってくる。
ミレーヌはふたりを部屋に入れた。
シャルルがセシルのそばに行くと、ソファに座らせ、自分も隣に座った。
「セシル……、気を落ちつけて聞くんだよ。
母……、お母様が……、エルラドといなくなった」
ドアの所にジョナサンと立っていたミレーヌが思わず「いなくなった?」と聞き返す。
セシルが兄シャルルの言葉が言葉としては聞こえているのだが、意味が捉えられなくて、ぼうっとした表情をした。
「……エルラドと?」
「ああ……、駆け落ちというか……。
従者が主君の妻を盗んで逃げたというか……」
「盗む? エルラドが? お母様を?
お母様とエルラドが!?」
ミレーヌとシーラは公爵家の従者を思い起こしていた。
公爵よりも若く、やさしそうな男性だった。
パテマでは奥様とお嬢様の方に付いていることが多かった。
そして公爵は金銭的な心配やいろいろうまくいかないことへの不機嫌をさらけ出して、妻に当たっていたのだろう。
シャルルとセシルの母親である夫人は、公爵よりもかなり若く、美人だった。そんな夫人を不憫に思い、いつも寄り添っていた従者と……。
うん、全然、ありえないことじゃない。
読んで下さり、ありがとうございます。
そっちかい!!
ブックマークが増えてる!
これからもお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
今日は2度目の講師の仕事です。
ああー、緊張ー。でも、2回目ということもあり前回の反省を生かしてプログラムを新たに組み直して臨みます!!
というわけで、午後の投稿はお休みします。




