51 家の心配
どうぞよろしくお願いします。
ギルドではカイガラムシの大量買取に大喜びされた。
「すごい!! どうやったんですか!」
職員に聞かれてエドが「ホーンボアの血を使ったんだ」と答えている。
ミレーヌがやっつけた緑色の羽根のない甲虫も1匹銅貨4枚になり、3匹なので銀貨1枚と銅貨2枚になった。
ネズミも1匹鉄貨3枚になったのでミレーヌが出したものは銅貨9枚、シャルルの方も銅貨7枚と鉄貨5枚となった。
コボーに腹を食べられた殻も珍しい色だったため、ふたつで銅貨6枚になった。これもシャルルに渡す。
「いいえ、受け取れませんっ!!」と言うシャルルにミレーヌは微笑んだ。
「コボーが来た時、一番前にいたのはシャルルだったから。
持っていきな。旅していると何かと物入りだから。
銀貨1枚以上になったけど、家族で宿1泊分にもならないかも……」
「……助かります! ありがとうございます!」
公爵は先に宿に戻っている。シャルルだけ一緒にギルドに来たのだ。
「従者は夫人の方に?」
シャルルが困ったように頷いた。
「実は従者を連れて歩く余裕も……」
「宿、もっと安い所に移ったら?
それから、明日も一緒に狩りする?
あ、シャルルだけね。ま、公爵はもう来ないと思うけど」
結局、シャルルはミレーヌ達の宿に来た。
そして、エド達の部屋を厚意で使わせてもらえることになった。(ベッドひとつ空いてたので)
エドワードの従者みたいなことになり、公爵の思惑通りなのが癪だが……。
シャルルが稼いだお金は、公爵家の宿代に消えているようだ。それでも追い付かないようで、夫人が宝石を売ったという噂が流れてきたほどだった。
冒険者パーティ『暁の勇者』としては宿を延長するか、次の街へ移動を考えるかどうしようとなり……。
一度レーニアに戻ろうという話になっていた。
そして、ローレウス領の方へ行ってみようかと。
「兄様!?」
ギルドを訪れたミレーヌとカイエンはジョナサンを見て驚いた。
「どうして、ここに!?」
ジョナサンはミレーヌを軽く抱きしめて、カイエンに目配せすると話し始めた。
「あんな報告を受けちゃ……、黙ってられないだろ。
父からの伝言だ。
エドワード王子、それから、エイルズワース公爵家、全部引っ張ってこいって。
いや、招待するってさ。我が家に」
「……それは、本当にお父様が?」
「まあ、母と私が言ったんだよ。
そうするべきだろうってね。
騎士団からふたりばかり護衛には連れて来てるんだが……。
『暁の勇者』にも護衛を頼みたいんだがね」
読んで下さり、ありがとうございます。
公爵どうするんでしょうね。まあ、ホイホイ招待されそうですが。エドワード王子も一緒だし。




