37 正体
どうぞよろしくお願いします。
宿に戻るために馬車に案内される。女性だけだ。
「男性方は一足先にお戻りになっております」
その説明にミレーヌが呟く。
「女性の方がより特別コースだったんだね。
狩りの報酬のパーティに銀貨1枚より、こっちの方がすごく高額な気がする……」
宿に戻ると、そのまま食堂に案内される。
もうコーラス達は食事を始めていて、話が盛り上がっているようだ。
シーラとミレーヌはふたり用のテーブルに案内され、特別の美肌コースとやらの食事だそうだ。
目の前にきれいに盛り付けられた料理が並ぶ。
「わー、もう今朝の恐ろしい時間がもう遥か昔のことのように感じる!!
豪華ー!!」
シーラの言葉にミレーヌは笑った。
おいしい食事をご馳走になり、着ていた服や靴もきれいにしてもらうサービスを受けて、また部屋で着替えさせてもらう。
最後に銀貨1枚を約束の報酬と差し出されたが、コーラスが「このおもてなしで十二分に頂きました」と固辞した。
「では、明日もどうだろうか?」とバルドに言われるが……。
カイエンが首を横に振った。
「明日からは、まだどのように動くか決めていませんので」
その言葉にエドが残念そうにしている。
「では、また狩りに行く機会があったら、ぜひ知らせてくれ」とバルドに言われ……。
4人で高級宿を出て、歩き始める。
「あはは、なんか……、すごい午前中だったね。
なんか、もう身体の力が抜けそう、眠いよ」
ミレーヌの言葉にコーラスが「ああ、昼寝しようぜ」とコーラスが答える。
「カイエン……、他言無用って言われてたけど、私達にはあの人達のこと教えてくれるよね!」
シーラの言葉にカイエンが苦笑して頷いた。
宿で昼寝をした一行は夕方に軽く夕食を済ませ、コーラスとカイエンの部屋でこれからのことを相談することにした。
「まず、カイエンの話を聞かせて?
本当にあれ、エドワード王子?」
シーラの言葉にカイエンが笑う。
「あれって……。まあそうだけど。
エドワード第2王子、19歳になったか?
側近にならないかと前から声掛けられてて……」
ミレーヌが質問する。
「バルドさんとカイトさんはパテマで王子と合流したんだもんね?
側近ってわけじゃないの?」
「ああ、エドワード王子には決まった側近はまだいないはず。
たぶんあのふたりは、あの宿にいた男性、副宰相だと思うんだけど、の側近で、そのまま世話を頼まれているんだろう。
半日だけど一緒に過ごして、その、かなり自由な方だとわかったんじゃない?」
「ああ、そのせいでネズミやコボーや甲虫に次々に襲われるというか……、まあ、いろいろ体験をしたわけだもんな。
そういや、カイエンの弟の話してたよな。
弟は子爵家を継いでるのか?」
「あ、えっと、説明すると、伯爵家初代のひい爺さんの話まで遡るんだけど……。
ミレーヌ、こっちへ来ない?」
カイエンが椅子に座っていたミレーヌを自分が座っているベッドへ誘った。
「うん」
ミレーヌは素直にカイエンの隣に行き、腰かける。
カイエンはうれしそうにミレーヌに微笑みかける。
「で?」
コーラスが先を促した。
読んで下さり、ありがとうございます。
やっと恋愛物らしい感じに……。
それにしても美肌コースの料理、材料は何でしょうね……。
知らない方が良さそうです。




