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31 依頼ではない、依頼?

どうぞよろしくお願いします。

 まだパテマに着いたばかりで、明日、狩りを始める準備をしていること。そのため、この地域の魔物や環境についてもそれほど詳しくないことを伝えるが、バルドには『無理しなければ大丈夫だろう』と言われてしまう。


「まあ、その通りなんですが……。明日は午前中だけ、様子を見ながら行く予定ですが」


 カイエンの言葉にバルドが頷く。


「それでいいし、そちらが狩った獲物はそちらの物としていい」


「え!? それで狩り?

 狩りの体験をしたいだけ?」


 ミレーヌが不思議そうに言った。


「ああ、そう思ってくれてかまわない」


 カイエンとコーラスが目を見合わせ、頷く。


「まあ、半日、狩りに同行するくらいなら」とコーラス。


「では、明日、ギルドに朝8時に待ち合わせでいいですか?」とカイエン。


「早いな……」


 バルドが苦笑するが、カイエンは続けた。


「できればギルドに依頼を出してもらいたいところですが、そうすることが難しい案件ということでしょうか?」


「ああ、君達の狩りに個人的に半日、同行、参加させてもらうような……」


 ミレーヌが前に出た。


「湿原を歩くオーバーシューズはお持ちですか?

 もし、お持ちなら持参下さい。

 私達はギルドで、前衛のコーラスと私が借りる予定です」


「わかった。持参しよう。

 では、明日、8時にギルドで!」


 バルドさんを見送りにコーラスが下の階まで一緒に降りて行く。


 シーラが言った。


「向こうにも男性のヒーラーがいたわよね?」


「うん、カイトさん、だったよね?

 収納魔法持ちだった」


 ミレーヌの言葉に「3人もヒーラーがいれば安心かな?」と呟くシーラ。


「でも、シーラ。

 戦ったことない魔物が多そうだし、相手は鳥と虫になりそうだよ」


「……虫?」


「うん、幼虫でもこんなに大きいみたいだよ。

 成虫は50センチ越えてるとか。ものによっては空飛ぶし」


 ミレーヌが両手で大きく輪を作って見せている。


「む……、虫!? 大きくて、空飛ぶ!?」


「うん、ダンゴムシとかカナブンのでかいの想像してみ。

 すごいよね!? 

 シーラ、ちょっと苦手だったよね」


「……む、虫がそんなに大きいの!?

 小さいのでも苦手なのに……、そんなの、ダメかも……」



 その日の夜、夕食を作って共用部のテーブルで食べていると、他の冒険者もやって来て話をすることができ、コーラスが虫について話を聞いていた。


 途中でシーラが「ごめん、先に寝る……」と部屋に戻ってしまった。


読んで下さり、ありがとうございます。

うん、シーラ。気持ちはわかる。空飛んでくる系の虫は怖いよね!

顔めがけてきたり、服にびたっと止まったりね……。

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