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30 次の仕事は……

どうぞよろしくお願いします。

「湿地だからニードルラビットはそんなにいないのか……。

 ボア系はいてもおかしくないですね。あの子達は泥とか好きだし。

 虫は……、小さいし潰れやすいし、採取難しくない?」


 ミレーヌの言葉にギルド職員が笑った。


「もしかして、大きさを知らない?

 資料をよく読んで!」


 カイガラムシについての資料を探すとじっと見たミレーヌがぎょっとした。


「え? この虫……、大きいものだと50センチ以上とかあるの!? 幼虫も10センチから50センチ……って。

 え? この虫を食べるわけだから……、鳥もでかいってこと!?

 うあ、ニードルラビットの方が小さいってマジか!

 あ、でも、この大きさなら、稲妻魔法で仕留められるか!?」


「焼くのはダメだから。そしてできるだけ潰さないように!」


 職員の言葉にカイエンとミレーヌは苦笑いだ。


 ここの湿地の生態系はかなり特殊なようだ。

 ラビット系はいないが、ネズミがいるそう。

 それも小さめといっても5~10センチくらいの。

 幼虫とお互い捕食し合う関係らしいが、ネズミの方が弱いそうだ。なので卵の状態を狙うとか。

 ここでは湿原に隠れ住むネズミが一番小さく弱く、その次に幼虫。土を掘り、幼虫や草の根を食べるボア。幼虫やネズミを食す、鳥類……という生態系ができているようだ。


 一通り調べ終わり、明日、午前中に狩りに行く予定を立てるところまで話し合えた。

 戦闘で動き回るコーラスとミレーヌだけはオーバーシューズを借りてみようかということも。

 カイガラムシはたくさん依頼が出ていて、取ってくれば、ギルドの方で依頼ということでポイントをくれるそうだ。



 ギルドから宿に戻ると、共用部の広間にシーラとコーラスがいて……、誰かと一緒だ。


「やあ、先日は世話になったね!」


 手を軽く上げミレーヌに挨拶してきたのは……。


「バルドさん!? あ、パテマで用があるんでしたっけ!?

 あの後、大丈夫でしたか!?」


「ああ、おかげさまでね。

 かなりの強行軍になったけど、もうニードルラビットに襲われることもなく、ね」


「それはよかったです!」


 その後、変な間があり……。


「で、何でここにいるんですか?」とカイエンが聞いた。



 コーラスの話によると、市場で買い物をして、温泉に入れる施設を見に行ってみようとなり、歩いて行ったところ、温泉施設の周りは高級な宿がたくさん並んでいるエリアだったそうだ。


「とりあえず、温泉施設の料金とか調べとこうかとそのまま歩いていたら、声をかけられて、それがバルドさんで……。

 仕事を頼みたいという話になったので、カイエンとミレーヌにも聞かないといけないからと話したら、ここまで来てくれたんだ」


「仕事?」


 カイエンが少し用心したような感じで言った。

 そうなのだ。彼らは……、普通の商人ではなかったはず。


 バルドは頷いて話し始めた。


「ああ、ここで待ち合わせてたのは貴族の令息でな。

 今はその方に仕えている。

 で、狩りに行きたいと言われていて。

 私とカイトだけではちょっと心許なかったので、護衛を、信頼できる冒険者に依頼しようかと思案してたんだ。

 君達なら実力はわかっているし、若いのであるじとも歳が近いしな、いいと思うんだ。

 どうだろう?

 半日で銀貨1枚と昼食をつけよう」


読んで下さり、ありがとうございます。

『主』? なんかぼやかしてる?

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