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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第2章 パーティ『暁の勇者』
27/53

27 告白!

どうぞよろしくお願いします。

 ミレーヌは泣きそうな表情になる。


「もう、無理しないで……」


「無理じゃないよ、ミレーヌ。

 俺はミレーヌが婚約者だって知る前から、ミレーヌのことが好きだよ。

 ミレーヌ、覚えていない?

 小さい時、王都で会ったことがあるんだけど」


「王都で?」


 ミレーヌは思い出す。王都に行ったのは過去に2回だけある。

 最初は5歳くらいの時。曾祖父母と王都の屋敷に行き、あちこち連れて行ってもらった。

 その時!?

 ミレーヌが5歳なら、カイエンも5歳くらい?


 ひいお婆様とふたりで王都の植物園に行ったことを思い出した。

 お爺さんがいて、黒髪の男の子を連れて来ていた……。


「……植物園で会ってた?」


 カイエンが頷く。


「俺も、その時は何も知らずにひい爺さんに連れて行かれてさ。

 植物園でミレーヌに会って、一緒に走り回ったり、木に登って怒られたり……、したよな。

 とても楽しかった」


 ミレーヌの頭の中で思い出がどんどん鮮やかなる。


「そうだ!

 カイエン、私よりおとなしい感じで……。

 私が『これくらいの木にいつも登っている』と言って登り始めたらオロオロしてた……。

 でも、一緒に怒られてくれて……。

 そ、そうか……」


 ミレーヌの顔が赤くなったのを確認してカイエンが笑う。


「思い出した?

 別れる時、俺がミレーヌに結婚を申し込んだこと」


「う……、うん。でも、あんなことは小さい時にはよくあることで……」


「よくあったの?」


「う、いや……、あの時だけですね」


 小さなカイエンが『大きくなったら迎えに行くから結婚してね』と言って、『いいよ』と答えた小さなミレーヌ。


「あの後、ミレーヌが本当に生まれつきに決められてた婚約者だと教えられたんだ。

 うれしかったなあ。だから、俺はずっとミレーヌに恋してたよ」


「え、でも……」


「俺の方がミレーヌにはすぐに言わないで欲しいと、頼んだんだ。決められてた婚約者だって。

 その……、ミレーヌの方が活発で眩しくて、かわいくて。

 だから、自分が力をつけて、ミレーヌを守れるようになったら、と思ってた」


「え、でも、え、私、本当に知らなくて……」


「あれからすぐに、俺のひい爺さんは病気になって、亡くなって……。

 その後だよな。ミレーヌの曾祖父様が亡くなり、そして、曾祖母様も病気がちで……。

 家同士の連絡がつきにくくなって……。

 ちょうどその時には、俺、魔法使いとしての修行をしていた時期で本当に忙しくて……。

 やっと16歳になって、正式に婚約を申し込める! と会いに来たんだよ」


「カイエンは……、決められてた婚約者で、お荷物だと思ってない?」


「うん、思ってない。

 ミレーヌが俺のことをそんな風に思ってたとしても、自分で振り向かせようと思っていたから」


「私だって、そんな風には……、あ……」


「最初は思ってたんでしょ?」


「……お荷物とは思いませんでしたが、冒険者になるのを反対されたりしたら……、破棄してもらった方がいいと……、思ってました……。

 でも、でも……、今は……」


「今は?」


 ミレーヌは意を決したようにカイエンを見つめて言った。


「この1カ月で、カイエンのことが、好き……みたい。

 カイエンが婚約者で良かったな……って、思ったりもしてた」

読んで下さり、ありがとうございます。

はあ、やっと言えた。お互いの気持ち。

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