27 告白!
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌは泣きそうな表情になる。
「もう、無理しないで……」
「無理じゃないよ、ミレーヌ。
俺はミレーヌが婚約者だって知る前から、ミレーヌのことが好きだよ。
ミレーヌ、覚えていない?
小さい時、王都で会ったことがあるんだけど」
「王都で?」
ミレーヌは思い出す。王都に行ったのは過去に2回だけある。
最初は5歳くらいの時。曾祖父母と王都の屋敷に行き、あちこち連れて行ってもらった。
その時!?
ミレーヌが5歳なら、カイエンも5歳くらい?
ひいお婆様とふたりで王都の植物園に行ったことを思い出した。
お爺さんがいて、黒髪の男の子を連れて来ていた……。
「……植物園で会ってた?」
カイエンが頷く。
「俺も、その時は何も知らずにひい爺さんに連れて行かれてさ。
植物園でミレーヌに会って、一緒に走り回ったり、木に登って怒られたり……、したよな。
とても楽しかった」
ミレーヌの頭の中で思い出がどんどん鮮やかなる。
「そうだ!
カイエン、私よりおとなしい感じで……。
私が『これくらいの木にいつも登っている』と言って登り始めたらオロオロしてた……。
でも、一緒に怒られてくれて……。
そ、そうか……」
ミレーヌの顔が赤くなったのを確認してカイエンが笑う。
「思い出した?
別れる時、俺がミレーヌに結婚を申し込んだこと」
「う……、うん。でも、あんなことは小さい時にはよくあることで……」
「よくあったの?」
「う、いや……、あの時だけですね」
小さなカイエンが『大きくなったら迎えに行くから結婚してね』と言って、『いいよ』と答えた小さなミレーヌ。
「あの後、ミレーヌが本当に生まれつきに決められてた婚約者だと教えられたんだ。
うれしかったなあ。だから、俺はずっとミレーヌに恋してたよ」
「え、でも……」
「俺の方がミレーヌにはすぐに言わないで欲しいと、頼んだんだ。決められてた婚約者だって。
その……、ミレーヌの方が活発で眩しくて、かわいくて。
だから、自分が力をつけて、ミレーヌを守れるようになったら、と思ってた」
「え、でも、え、私、本当に知らなくて……」
「あれからすぐに、俺のひい爺さんは病気になって、亡くなって……。
その後だよな。ミレーヌの曾祖父様が亡くなり、そして、曾祖母様も病気がちで……。
家同士の連絡がつきにくくなって……。
ちょうどその時には、俺、魔法使いとしての修行をしていた時期で本当に忙しくて……。
やっと16歳になって、正式に婚約を申し込める! と会いに来たんだよ」
「カイエンは……、決められてた婚約者で、お荷物だと思ってない?」
「うん、思ってない。
ミレーヌが俺のことをそんな風に思ってたとしても、自分で振り向かせようと思っていたから」
「私だって、そんな風には……、あ……」
「最初は思ってたんでしょ?」
「……お荷物とは思いませんでしたが、冒険者になるのを反対されたりしたら……、破棄してもらった方がいいと……、思ってました……。
でも、でも……、今は……」
「今は?」
ミレーヌは意を決したようにカイエンを見つめて言った。
「この1カ月で、カイエンのことが、好き……みたい。
カイエンが婚約者で良かったな……って、思ったりもしてた」
読んで下さり、ありがとうございます。
はあ、やっと言えた。お互いの気持ち。




