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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第2章 パーティ『暁の勇者』
19/54

19 ギャップ

どうぞよろしくお願いします。

 村はけっこう大きい方らしい。

 まあ宿屋もあり、パテマに行く商人も必ず寄る村だ。市場はなかったが、パン屋、肉屋、八百屋など小さいが店も充実していた。

 パン屋でパンを買い、肉屋で塩漬けの肉を買った。八百屋で根菜を買い足し、旬の梨があったので買った。


「もう秋だね! もう少しすると林檎がおいしくなるね!」


 ミレーヌがうれしそうに言った。


 ん、いつものミレーヌだ。

 シーラはさっき感じた違和感を心から追いやった。




 夕食は宿自慢の川魚のムニエルで、バターをたっぷり使っているのがとても美味しかった。


 夜、ミレーヌとシーラはお湯をもらってきて、身体を拭くことにした。

 明日は早朝に出発し、順調に行けば街に入れる予定と聞いたが、だめだとまた野営になる。

 

 こういう時に脱ぎっぷりがいいのはミレーヌだ。

 あっという間に下着姿になり、湿らせたタオルで身体を拭き始める。


「ずいぶん……、大きくなったね」


 シーラの言葉に「ああ、もう少ししたら17歳だもの!」と答えるミレーヌ。


「いや、歳というか、胸というか……」


「胸? シーラより小さい……」


「いや、それはそうなんだけど……」


 シーラはやっと被るタイプのワンピースを脱いで下に着ていた長袖シャツとズボンを脱いだところだった。厚めの生地で身体を守る意味もあるワンピースタイプの上着でもあるので、伸縮性がほとんどなく着脱に一苦労なのだ。


「そんなにしょんぼりしなくても!?」


「んー、しょんぼりはしないよ。

 胸が大きいと剣を扱う時、動きにくそうだし。

 それに我が家は家系的に胸はそれほど……。

 でも、シーラの胸見ると、ドキドキする。立派で」


「……私は私で、すらっとしてるミレーヌが羨ましいけどな」


「ふふっ、お互い様?」


「ない物ねだり?

 ほら、背中拭いてあげる!」


「ありがと」


 素直に背中を向けるミレーヌ。

 この細い背中に、あの稲妻の剣を振るう力が秘められていることを改めて感じるシーラ。


「はい、拭けたわよ」


「じゃあ、シーラも!」


 ミレーヌがやさしくシーラの背中を拭いてくれる。


「シーラの好みの男性って?」


 急に聞かれてシーラは驚くが、そういえばそんな話を昨日からしていたなと気がついた。


「そうねえ、うーん。

 かわいい人かな?」


「かわいい人?」


「いつもは私を守ってくれるような完璧な感じなのに、私の前では情けない姿も見せてくれるような……」


「うーん、ギャップがある人?」


「そうね、そうかもしれないわね」


 何気に答えたシーラの後ろで、ミレーヌが何か考えこんでいくような表情を浮かべていた。


読んで下さり、ありがとうございます。

あー、ミレーヌ……。なんか……。


ブックマーク、また増えてて、キャー!

ありがとうございます。

またまた喜びの投稿です。

これからもどうぞよろしくお願いします。


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