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182/247

182 狙っている

どうぞよろしくお願いします。

 コーデリアがシーラを見返してから、目を伏せた。風情はかよわい令嬢のようだ。


「すまない、カイエン。

 君の家の助けになればと思ったんだが……」


 カイエンもどう言っていいのか、困っている。

 貴族令嬢と、上司の隊長としての言動を交互に繰り出してくるので、どう返事をしていいのか……。

 レンダート伯爵夫人が取りなすように言った。


「コーデリア嬢、私のことを心配して下さってありがとうございます。

 では、よろしければ、庭で私とお茶でもしませんか?

 少し話を聞いていただけたら、うれしいわ。

 その後、お宅までお送りしましょう。

 マリア、一緒にいいかしら?」


「はい! ではご一緒に!」


「シーラ嬢、あなたは……」


「レンダート伯爵夫人、お誘いうれしいのですが、私はもう少しカイエンとコーラスからミレーヌについての話を聞きたいのです。

 後で、伯爵夫人のお話しも聞かせて下さい」


「ええ、では後で」


 伯爵夫人がコーデリアとマリアを連れて、部屋を出て行く。


「大丈夫か、あれ?」


 コーラスの言葉にカイエンが苦笑する。

 シーラがため息をつく。


「あれ、狙いはカイエンよ」


「え?」


「ああ、俺もそう思う」


 ジョルジュが頷く。


「ミレーヌのことは、心配してないだろ。

 カイエンの母にまずは取り入って……、ミレーヌの愚痴でも言わせようって魂胆じゃないか?

 となると、カイエンのことを狙っているとしか思えん」


 シーラがカイエンを見て言った。


「ええ、伯爵夫人って、少女趣味があるのね。

 マリアのドレスと夫人のドレス、なんとなく雰囲気が似てる。

 たぶん、ああいう淡い色のシンプルなかわいらしい感じがお好みなんじゃない?

 それをわかって……、あのコーデリアって女、自分には似合わないのに、着て来てるのよ。

 カイエンの母上にまず気に入られるためにね」


「そ、そうなのか!?」


 カイエンが驚いたように言った。


「ええ、マリアだけじゃ、心配だわ。

 ウィリアムも行って!」


「えっ?」


「ウィリアムなら同じ魔法協会だから、いつもと違うのがよくわかるんじゃない?

 ほら、マリアを守りに行く!」


「は、はい!」


 ウィリアムも部屋の外に慌てて出ていった。


「さて、カイエン、コーラス。

 一体どういうことなのか、話を聞かせてもらおうじゃないの……」


 シーラも怖いのだが、その後ろでジョナサンもゴゴゴと音がしそうなくらい何かを我慢して無理やり微笑んでいるように見えた。

 コーラスが恐怖の表情でジョナサンを見ている。

 カイエンがこれまでにわかっていることを話し出して、ジョルジュも補足していく。

 レンダート伯爵が預かっていたミレーヌの置手紙を2通ともふたりに見せる。


「このカイエンの愛する人っていうのは、カイエンには本当に心当たりがないのね?」


「ああ、そんなこと、まったくありえないの、わかるだろう!?

 それに、俺はしばらく仕事で王都にいなかったんだ……」


「ミレーヌを放って置いたのね」


「違う、そんなわざと仕事に行っていたわけじゃない。

 俺だって、ミレーヌのことは心配だったけど……」


「でも、結果はこうなってる。

 もしかして、ミレーヌもカイエンに愛想がついたからと言えなくて、こんな嘘を書いてるとか?」


 ジョルジュが慌てたように間に入ってくる。


「いや、確かにミレーヌは慣れない王都の生活で疲れ気味のように見えたけれど、マリアと一緒にがんばっていたよ。

 あの、コーデリア嬢が、何か言ったような気がするんだよな。

 お茶会で何かミレーヌにこそこそ言ってたんだ。耳の所まで顔を近づけてさ。

 その後、ミレーヌの顔色が悪くなったから……」


「そう、あの女のせいね……。

 伯爵夫人に取り入って何を企んでいるのかしら。

 少し探る必要があるわね。

 ジョルジュ王子、あの年上の令嬢について調べて下さらない?」


 コーラスがそっと移動してジョナサンにこそっと言った。


「シーラ、辺境伯爵夫人に似てきた!?」


「ふっ、カッコよくて惚れ直すよな」

読んで下さり、ありがとうございます。

シーラ、カッコよい!

確かに書いててケリー(ジョナサン、ミレーヌ、マリアの母)が乗り移った? と思った。

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