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176 カラコムの街で

どうぞよろしくお願いします。

クルト中心のターンですが、また長いです。

 カラコムの街まではコボーの足で急いでも5日ほどかかった。

 途中、野営をしたり、魔物と出会い狩ったりということもあった。

 ミレーヌが大きなブラウンボアを仕留めたが、クルトが預かっている。

 ミレーヌには冒険者としてギルドを利用することはできないだろうと伝えた。職員として登録の方法を知っているので、偽名で新たに登録はできないことは教えた。

 ミレーヌとしては冒険者として生計を立てるつもりだったのだろうが、それができないということだ。


「兄さん、カラコムのギルドでそのブラウンボアを売って旅費の足しにしてね!」


 ミレーヌは笑って言う。

 今は協力者のクルトがいるからそれができるが、ひとりになったら……、どうしようと考えているのだろう。

 今頃、カイエンや……、コーラスにマリア達は必死にミレーヌを捜しているのだろうな……。


 

 カラコムの街、入ってすぐの宿屋に入り、またも()()に留守番を頼んで、クルトはギルドに向かう。

 ギルドの掲示板に、探し人の掲示は出ていない。まだこちらまで情報は届いていないのか?


 クルトは王都のギルドから頼まれていた文書を渡し、王都に持ち帰る文書を受け取った。そして「何か変わったことはないか?」と聞いた。

 その職員はクルトを再度見て『あ』と思いついたように言った。


「討伐パーティのギルド職員クルトだよな!

 実は、人捜しが行われている。

 レイオス辺境伯爵家のミレーヌ嬢だ。

 討伐パーティの聖女だよな?」


「ああ、レーニアからモルドバまで一緒だった」


「その聖女様が王都から姿を消したらしい。

 まあ、貴族令嬢で聖女だからな。大々的に捜索すると良からぬことを考える奴もいるだろうし、その聖女様も警戒してギルドに近寄らなくなるんじゃないかと。外部には捜索していることは出していない」


「……そうなんだ、まあ、ミレーヌ嬢は優れたヒーラーでもあるし、冒険者としても腕が立つからね」


「そうだよな。魔王討伐でランクが上がり、B級だとか!」


 そうなのだ。魔王討伐とモルドバ奪還でみんなランクがひとつ上がっている。ジョルジュはFランクだったこともあり、一気にBランクまでアップした。


 クルトは思っていたよりいろいろ配慮されて捜索されていることに驚いた。

 まあ、嫁入り前の貴族令嬢、噂にならぬようにというところか。確かに、捕らえて身代金や売り飛ばすなど不埒なことを考える悪党もいるだろう。

 このぶんだと教会などにも同じように情報が回っていそうだ。


「これから辺境見物して、それから王都に戻るんだろう?」


 にこやかに聞かれ、慌てて頷くクルト。


「ああ、うちのパテマも辺境の辺境だからね。後学のために!

 なかなか簡単に行き来できない地でもあるし」


「そうだよなぁ。まあ、旅を楽しんで!」


 ギルドを出ながら考える。さて、どうしようか……。とりあえずギルドのある街からは早めに出た方が良さそうだ。

 市場を覗いてみると珍しい果物が並んでいる。店番と話をすると荒野でも育つ植物の実なのだそう。いくつか買ってみる。

 水は専門店で扱われていて、高級品だ。

 住民はどうしているのだろうと聞いてみると、少ない井戸の水や雨水を越して煮沸して飲料水として使っているのだそう。

 これからさらに辺境の地に入るのだからとパンやチーズなど多めに買いこんだ。

 宿に戻る途中、役人風な男達に声を掛けられた。


「旅人か?

 途中、ひとりで旅する少女に出会わなかったか?」


「少女?」


「ああ、明るい……、薄茶色の髪をの少女だ。年の頃は16~7歳。見かけなかったか?」


「私は、ギルド職員で、王都から来ていますが……」


 そう言い始めるとギクッとされる。


「そのような少女は見かけませんでしたね……。

 まあ、市場ですれ違っていたくらいだと、わかりませんが」


「そ、そうだな。失礼した」


 男達は慌ててクルトから遠ざかる。

『ギルドにばれたら……』という囁き声が微かに聞こえた。


 ギルド以外に、ギルドに隠れてミレーヌを追う者達がいる。カイエン達ではない。どこの者だ?

 役人だと思うが……、となるとバックに貴族がいる。

 とりあえず、ギルドに男達に声を掛けられたことだけでも報告しておくか。


 そして、夜……、いや、あまり慌てて行動すると宿屋に変な記憶が残るかもしれない。

 朝、急いで出ることにしよう。

 クルトは再び、ギルドに向かった。


読んで下さり、ありがとうございます。


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