175 ミレーヌの気持ち?
どうぞよろしくお願いします。
カイエンのターンなんですが、長めになっちゃいました。
「ミレーヌのことだから……、修道院におとなしく入るなんてことは考えていないと思う。教会にもな、頼ろうとはしないだろう」
コーラスがカイエンに言った。
「……俺もそう思う。
でも、ミレーヌは……、ギルドは名を変えて登録し直すことはできないから、冒険者として働けない。
もし身分を隠すつもりなら、誰かと組んで、影のように生きていくしかない」
「うーん、女性がひとりで生きていくより、さらに厳しい道になるか……」
あれからマリオン侯爵とエドワード王子がアルベルト神官と連絡を取ってくれ、修道院と教会の方に調査を入れてくれている。
ジョルジュ王子は王都周辺を捜してくれている。
コーラスとカイエンはギルドの方に話をし、ミレーヌの捜索を続けている。
まだ全ギルドに通達はできていないだろうが、この先、ミレーヌがギルドに関わろうと、例えば獲物を売ろうとしたりすれば、特定できるはずだ。
魔法協会の方にはカイエンが休暇を願い出て、渋い顔をされたが許可が出ている。
まあ、いざとなればすっぱりやめる覚悟のカイエンを引き留めるため……というところだろう。
レイオス辺境伯爵家にもマリアが手紙を出してくれている。
もうそろそろ着く頃だろう。
もう数日経っているのだが……、ミレーヌの行方は全くわからない。マリアの勘も今のところはっきりしないという。王都にはいないということらしいが……。ミレーヌが見つかりたくないと思っていることが影響しているのだろうか。
「……ミレーヌの手紙の、カイエンの『愛している人』って謎は解けたのか?」
「……さっぱりだよ。
ただ、ミレーヌにマリオン侯爵家のお茶会で、俺の上司であるイシュー隊長が何か言ってたらしいというのはわかった」
「イシュー隊長?」
「コーデリア・イシュー隊長。
貴族令嬢、子爵令嬢なんだが、女性として初めて魔法協会の隊長となった人だよ。
師団長の下に4隊あるんだが、第2隊の隊長だ。俺は副隊長をしている。
ローゼリア嬢の話ではイシュー隊長がお茶会に来て、まるでミレーヌを捜していたかのようにまっすぐやって来て、俺の名前を出して挨拶し、何か耳打ちしていたそうだ。
その後、ミレーヌの様子がおかしくなったと」
「ジョルジュ王子も、そんなこと言ってたな。
今は王都に?」
「いや、俺がいた現場にいるはずだ」
コーラスが真顔で言った。
「その令嬢隊長とは、どんな仲なんだ?」
「は?」
「だから、カイエンとは、どんな仲?」
「……仲って。上司と部下だ。それ以上個人的な関りはない」
「カイエンはそう思っていても、向こうは?
女性の嫉妬は怖いって聞くしな」
「嫉妬?」
「もし、その人がカイエンのことを気に入っていたら?
ミレーヌに何か変なことを言うってことも考えられるだろ?」
「気に入られている?
そんなことはないよ。
隊長は大人の女性で、俺より七つ年上だ」
「年上だからってのは関係ないだろう。
それに、カイエンは魔法の天才と言われる逸材でもう副隊長という役付きだろ。
逆に気にしない方がおかしくないか?」
カイエンもミレーヌも人に対する考え方が、比較的、素直だ。
特に女性というだけで警戒心を下げてしまっているような……。
コーラスはそれが気になった。
「まあ、ミレーヌの方はこれだけ手配してるんだ。
どこかで情報が上がるのを待つしかないだろう。
時間があるのだから、なぜ、ミレーヌがこんな考えに至ったのか、調べてもいいかもな」
「……あんなにお互いの気持ちが通じていたのに……。
なんで……」
「ミレーヌだからだろ」
「どういうことだ?」
「ミレーヌは令嬢としての自己肯定感が低い。
カイエンの努力でさ、カイエンが本当にミレーヌを大切に思い、好きだということは伝わって、ミレーヌもカイエンのことを好きになった。
でも、そのカイエンが自分ではない、優れた……、自分より優れた女性を思っているようだと考えたら……。
ミレーヌなら、カイエンのことを考えて、自分が引くだろうな。本当にカイエンが好きだから」
「だから、どうしてそうなるんだ。
好きなのに、人に譲る?
俺は、ミレーヌのことが本当に子どもの頃から好きでっ!」
「しょうがないよ。それがミレーヌだから。
でも、こうなるとミレーヌは本気でカイエンのために、カイエンから離れようと、身を隠そうとするだろうから、見つからないかも……」
「コーラス! 縁起でもないこと言うなよ!」
その時、レンダート伯爵がふたりのいる部屋に入ってきた。
「カイエン、魔法協会から手紙だ。
イシュー隊長がミレーヌ捜索の手伝いのために我が家に来てくれるそうだ」
「は?」
カイエンが父の手から手紙を受け取り、読み始めた。
読んで下さり、ありがとうございます。
コーデリア、何しに来るねん?




