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どうぞよろしくお願いします。

 クルトは再び市場へ行き、よくあるデザインと色を考えて、男性の上着を買った。

 水と食料、コボーの餌になりそうな肉の切り身や野菜も買い込む。


 明日の朝一で出発しよう。

 とりあえず、どこまで……。

 しかし途中で別れるのは……。何かしら収入が得られて安心して生活できるような環境でないと。

 ただ、ミレーヌとして冒険者登録をしてしまっているので、もう別の名で登録はできない。冒険者としてギルドの仕事をしたり、狩った獲物を持ち込むこともできない。


 宿に戻り、ミレーヌに上着を渡す。そして水と食料を渡しておく。何かあった時のために。

 そして、これからのことを相談するために、なぜ家出をしたのか、聞いた。


「カイエンには愛している人がいたんだよ。

 どうやら、伯爵夫妻には反対されちゃいそうな人で。

 だから、婚約をと急かされる年齢になってきて、彼女との結婚は諦めて、ただ生まれつきの婚約者だった私と婚約、結婚しようとしてたんじゃないかな。

 はあ……。私なんかのことを好きだって言ってくれるから……。信じちゃったし、私も好きになっちゃったのにな。

 でも……、好きな人だから、幸せになってもらいたいし。

 本当に愛している、結婚したい人と幸せになってもらいたいから、私は身を引くことにした」


「それでいいんですか?

 カイエンに、何も確かめずに?」


「うん、確かめたら……、私、どうなるかわからない……。だから……」


 ミレーヌがぎゅっと身体を縮こませるように小さくなっている。

 クルトはため息をついた。


「わかりました。

 とりあえず、協力しますが。

 金はどれくらい持っていますか?」


「魔王討伐の褒美もあるし、大きなお金だけだと金貨5枚と銀貨が15枚ぐらいってとこかな。

 当分はもつと思う。

 野営のための簡単な道具や毛布、服は兄様のお下がりなど持ってる。剣も薬も布なんかも」


 クルトは頷いた。


「わかりました。

 先ほど頂いた銀貨3枚を旅費に当てます。

 もう、レンはお金を出さないように。

 まだ、ここまで捜索の情報は届いていない。

 明日、朝一で出発しよう。

 部屋は一緒ですが、もし嫌なら……」


「大丈夫、嫌じゃない。

 その、クルトのことは信用してる。兄っていうか師匠って感じ」


 クルトはふはっと笑った。


「私はギルドの職員として、辺境伯爵家のお嬢さんのこともカイエンのことも……、知っていますからね。

 これから知り合う人は、そんなことは知りません。

 男の格好をしている女性だとばれたら、何をされるかわかりませんよ。

 それだけは十分に用心して下さい」


 クルトの真剣な様子に、ミレーヌも真剣に頷き返した。


「わかったよ、兄さん」


「これからのことをもう少し話さなくてはいけないが、明日の移動中に話そう。

 それでは、おやすみ、レン」


「おやすみ、兄さん」


 クルトとミレーヌはそれぞれのベッドに横になった。

 まもなくミレーヌのベッドから寝息が聞こえてきて、クルトは苦笑した。


 さて……、レンはこの先どのように身を立てたら生きて行けるのだろうか……。

 本当にカイエンから離れることが、彼女の、ふたりの幸せなのだろうか?

 しかし、今、そう言っても、彼女は聞かないだろう。

 最悪、クルトから黙って離れる選択をしてしまうかもしれない。それだけは防がなくてはならない。

 今は、このまま、一緒に行動するしかないだろう。

読んで下さり、ありがとうございます。

クルトはまだ若いです。ジョナサンよりちょっと年上、22歳くらいな感じです。

ギルドでは中堅職員で動物好き(ネコ好きだったし)なので、パテマではそういう仕事を任されることが多いです。

コボーに乗って一人旅ができると判断されているほど、剣術の腕も確かです。

今のところ、将来のギルドの幹部候補な感じ。

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