166 お茶会
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌとマリアはマリオン侯爵家のお茶会に出席していた。
あの王城での謁見と話し合いから、二週間ほど経っている。久しぶりというか、王都でのお茶会は4年振りくらいな感じで、いい思い出も全くない。
ミレーヌは緊張していて、初めてのマリアの方が落ち着いているような……。
「シーラに聞いたことがありますけど、お姉様、ジョルジュ王子とやり合って、他の令嬢から意地悪されるようになったとか?」
「あはは、そうだね。
久しぶり過ぎて、もう何だかわからない!」
ミレーヌは薄青のシンプルなドレスに濃い青色の石のアクセサリーを身につけ、髪にも青い花飾りをつけている。今の流行がこの花飾りなのだそう。
マリアはピンクのシンプルなドレスに水色の石のアクセサリーと花飾り。
どちらも初々しい少女な感じを残しつつ、かわいらしい。レンダート伯爵夫人のお見立てだ。
「ウィリアムとコーラスはジョルジュ王子と一緒に来るんだよね!」
「はい、そうです! カイエンはお仕事で残念でした」
マリアが言うように、カイエンは急に魔法使いとしての仕事が入り、王都から離れた地へ仕事に行っている。
「ああ、カイエンのためにも、レンダート伯爵家のためにも頑張らなきゃ……」
「お姉様、そんなに気負うことはないです!
王都での生活も始まったばかり! 楽しんでいかないと!」
マリアがミレーヌを労わるが、ミレーヌは「そう……、なんだけど」と自信喪失気味だ。
レンダート伯爵家で、いわゆる花嫁修業という事態になってしまっているのだ。
挨拶が終わったら、レイオス辺境伯爵家の屋敷に入るつもりだったミレーヌとマリアだったのだが、6ヶ月後に結婚ということで、伯爵夫人としての教養とマナーをという話になり……、貴族令嬢として必要最低限のマナーを身につけていただけのミレーヌには上級マナー講習やらというそんな騒ぎになり、レンダート伯爵家で学ばせられて……、いや学ばせてもらっているのだ。
そこまで飲み込みも悪くなく、こなしているが……。
今までのびのびと過ごしていた生活とは違い……、しかも婚家であるレンダート伯爵家……、いくら素直なミレーヌとしても少々ネコを被るわけで……、お疲れ気味。
マリオン侯爵と御家族にご挨拶する。
マリオン侯爵はまだ未婚で、妹のアドリアーナが屋敷の采配を任されているそう。
「ミレーヌ嬢、マリア嬢!
よく来てくれた!
リアーナ、こちらがレイオス辺境伯爵家の姉妹、ミレーヌ嬢とマリア嬢だ。
ふたりとも魔王討伐でモルドバ奪還の名誉を与えられたヒーラーだよ。特にミレーヌは『聖女』だ」
20台前半と思われる落ち着いた感じの女性がにっこり微笑む。
「ミレーヌ嬢、マリア嬢、今日は我が家のお茶会にいらして下さりありがとうございます。
マリオン侯爵家のアドリアーナと申します。兄がお世話になり、ありがとうございます。
マリア嬢は我が家でお預かりしているセシルと同じくらいよね。
紹介いたしますわ!」
「セシル……嬢。
エイルズワース公爵令嬢のセシル様ですね!」
ミレーヌの言葉にアドリアーナが微笑む。
「そうですわ。
兄から、話は聞いています。
……セシルもあなた方に会えるのを楽しみにしていました。
セシル!!」
アドリアーナが片手を軽く上げ合図すると、セシルが現れた。
白いシンプルなドレスを着ている。
大粒だが控えめな緑の石のネックレスと淡い緑色の花飾りだけを身につけ、なかなか上品で大人っぽい感じである。
「ミレーヌ嬢、マリア嬢。
お懐かしく……。
以前の私はおふたりに申し訳ないことを……」
マリアがセシルの手を取り言った。
「もう謝って頂いて、終わったことですから!
これからは仲良くして頂けるとうれしいですわ!」
セシルは少し申し訳なさそうな表情を浮かべていたが、微笑んだ。
「マリア嬢!
ミュラー子爵と婚約されたそうで、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
ミレーヌはそんなふたりを微笑んで見守っていた。
セシルの代わり様にも内心驚いていた。
アドリアーナ嬢がマリオン侯爵が話していた妹だろう。セシルの貴族令嬢としての教育し直しをこの短期間で……。
その時、ミレーヌは声を掛けられた。
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