163 魔王の依り代
どうぞよろしくお願いします。
エドワード王子の客間に呼ばれる。
ミレーヌ、マリア、カイエン、コーラス、ウィリアムはバルドに案内され王城の中を歩いていた。
クルトと冒険者パーティは先にローレウス伯爵家に戻った。
客間に通されると、エドワード、ジョルジュ、そしてアルベルトがいた。
王子が全員集合だ。
「お疲れ様」
みんながソファに座ったところで、エドワードがにっこり微笑む。
「疲れただろ、あの雰囲気」
アルベルトが苦笑しながら言った。
「はい……、なんか不穏な雰囲気でした!」
ミレーヌが笑いながらしれっと言って、ジョルジュが目を伏せる。
「すまん……、居心地悪くて」
「えっ! ジョルジュ王子! 冗談ですよ!」
ミレーヌが慌てて言い直す。
「居心地というか、そのピリッとしてたというか。
なんか言い返しにくい感じだったけど、カイエンも討伐パーティのリーダーも頑張って意見してくれたもんね!」
「ああ、みんなに、迷惑を……」
ジョルジュがさらにズーンと落ち込むようなそぶりを見せて、ミレーヌは「わー、そんなつもりでは……」とかなり動揺した。
「もうミレーヌはしゃべるな」
コーラスに言われて「うう……」と悔しそうな表情を浮かべているミレーヌ。
エドワードが話を先に進めようとする。
「まあ、そんなことも含めて……。
ウィリアム、私達も君の話が聞きたくてね。
マリアとミレーヌにはまだ話していないんだろう?」
ウィリアムが頷く。
「はい、その……、マリア………。
私は実は魔王に、身体を乗っ取られ、魔王として生きていたことがある……」
「……はい、そうだろうなと思いました。
だから、私は討伐パーティに入ることにしたんです」
「わかって?」
「ええ、あのペンダントをウィルが庭の木にかけるところが映像として残っていました。
そして、私の勘、私、人探しや探し物が得意なんですが、ウィルは魔王城にいるような気がずっとしていて、お姉様とも話しました」
「マリア……」
ウィリアムがマリアの手を取る。優しく手を握りあうふたり。
ミレーヌがそんなふたりの様子を見て微笑み、説明を引き受ける。
「マリアと私は、ウィリアムが魔王に憑りつかれてしまっていると考えて、それもあり、討伐パーティで魔王城まで最初にたどり着かなくては、と考えていました。
それまでの魔王の正体が、憑りつかれた魔法使いという話をジョルジュ王子からも聞いていたし。
ウィリアムが魔王の依り代になっている可能性は高いと。マリアは探し物の勘が鋭いんです。曾祖母の聖女の力の一種かもしれません。マリアはウィリアムがモルドバにいると。
それで、魔王城までふたりで行こう! ウィリアムと話そう! と約束していたんです。
私が……、怪我をして、約束を破ってしまいましたが……」
ウィリアムがマリアとミレーヌを見て頷く。
「ありがとう。そんな風に思ってくれていたなんて……。
そう、私が魔王オベリウスに身体を乗っ取られて……」
コーラスも「やはり、そうか……」と呟いた。
「ごめん。ウィリアムが帰って来られる場所を残してやりたくて……、みんなには言えなかった」
カイエンも言った。
読んで下さり、ありがとうございます。
えーと後日録なんですが……、なんだかもう少し長くなりそうな感じです。
数話先を書いていますが、頭の中に、ミレーヌとカイエンの仲をひっかき回す年上美女が出てきてしまって、あら? どうしよう? となってます。




