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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第二部 第1章 魔王討伐が終わって
162/247

162 謁見!!

どうぞよろしくお願いします。

 王と王妃が大広間の奥、3段ほど高い所に設けられた玉座のような椅子に座っている。

 その脇に控えるようにエドワード第2王子、ジョルジュ第3王子が立っている。

 アルベルト第1王子だったアルベルト神官は王族より一段低い場所に立ってミレーヌ達を迎えてくれた。

 アルベルト神官と同じ場所にはマリオン侯爵やエイルズワース公爵であるシャルルの姿も見えた。

 

 バルドとカイトはミレーヌ達と同じフロアに従者や護衛騎士と一緒に脇の方に並んでいる。ウィリアムもマリアをエスコートした後、そちらの列に並んだ。


「魔王討伐パーティ!

『深淵の探索者』『暁の勇者』ともに前へ!」


 冒険者パーティ、そんな名前だったのか!?

 ミレーヌは『暁の勇者』がそんなに悪目立ちしていなくてほっとしている。

 カイエンとコーラスはそんな様子を感じ取って、笑いを嚙み殺した。


 王から魔王討伐パーティとして『深淵の探索者』は名誉と賞金をもらう。そこにコーラス、カイエン、クルトも含まれた。


 そしてパーティ『暁の勇者』はジョルジュ第3王子を勇者として聖女ミレーヌ、騎士コーラス、ヒーラーマリア、魔法使いカイエンの体制で、モルドバの街を魔物から奪還し、魔王城へ迫る道筋をつけたと。

 王はモルドバを救ったという名誉を与えようと言ってくれたが、王妃がジョルジュをちらりと見て言った。


「アルベルトが勇者と聖女と任命しましたが、このふたりは途中から戦線を離脱したとの報告もありますね」


 ミレーヌは慌てて叫んでしまった。


「王妃殿下!

 その原因は私にあります!

 私が自分の不注意で怪我をしてしまい、パーティから抜けなくてはならなくなりました。

『暁の勇者』はそれぞれ単独で動かなくてはならなくなり……。

 でも、ジョルジュ王子、カイエン、コーラスは最後まで魔王と戦っています!

 どうぞ、責めは私に!

 聖女の名をお返し致します!」


 ジョルジュが険しい表情をしている。エドワードと王は少し困った表情だ。そして、王妃は無表情で頷いた。


「そうですね。

 では個人に与えられていた『勇者』『聖女』の称号は剝奪ということで。

 その名にふさわしい働きをしてなかったのですものね」


 冒険者達が少し動揺する。

 自分達は最後に駆けつけて矢を一本放っただけでもあるのだ。


 カイエンが言った。


「ジョルジュ王子は魔王と対峙し、……戦いました。

『勇者』として相応しい働きだったと、私は思います」


「それはあなたも同じでしょう」


 王妃の声が響いた。

 その響きに何か冷たいものを感じる。

 冒険者パーティのリーダーが恐る恐る声を上げた。


「勇者であるジョルジュ王子、魔法使いカイエン、このふたりが魔王を押さえていてくれたから、我々は魔王に攻撃することができたのです」


 エドワード王子がその言葉に少し前に出て王妃に言った。


「王妃、ジョルジュは勇者として働いていたんだよ。

 王家を代表して、前線でね。

 それは、王家としては感謝を。親としては褒めるべきだと思います」


「エドワード……。

 わかったわ。もう何も言いません」


 王妃は不機嫌に黙り込んだ。

 なんとなく不穏な雰囲気になったが、予定されていた名誉と褒美はその通りにということになり、みんな大広間から退出して、ほっとした。


 控室である客間まで戻るとクルトが小さな声で「……ジョルジュ王子は、そうか王妃とは」と呟いて頭を振った。


「ああ、次の王位を巡る争いに巻き込まれないように王都から離れている方が良さそうだな」


 冒険者パーティ『深淵の探索者』のリーダーが小さな声でクルトに囁いた。


「で……、私の『聖女』はめでたく剥奪ということになったのかな?」


 ミレーヌが首を傾げてカイエンに聞いた。


「王妃が引っ込めたから、そのままかも?

 この後、アルベルト神官とエドワード王子とジョルジュ王子に会う予定だから、そこで確認してみよう」

読んで下さり、ありがとうございます。

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