160 半年!?
どうぞよろしくお願いします。
王都へ向かう道中、やはりコボーに乗るクルトとカイエンとミレーヌの姿は話題になった。
「パテマのコボーという大型の鳥の魔物です。
空を飛ぶのは苦手ですが、小回りも聞きますし、少々道が悪くても、山道のような坂も登ってしまうくらい脚が強いです!
お問い合わせはレイオス辺境伯爵領のパテマのギルドへ!!」
クルトがコボーについて質問されたり、物珍しそうに見られたりする度に、にこやかに宣伝している。
「商魂たくましいなー」
馬に乗りそばにいるコーラスが感心している。
王都に到着し、そのまま王城に入るように誘われたが、大勢の騎士団の移動もあるのだ、王城は大変な騒ぎと混雑になるだろう。
とりあえず、王子達とは一度別れて、ほっとしたいところだ。
ミレーヌ達はカイエンのレンダート伯爵家とコーラスのローレウス伯爵家に分かれることになる。
冒険者パーティも王城に入るのは恐れ多いということで、コーラスとともにローレウス伯爵家へ行くことになる。
クルトもコボー三頭を連れて、ローレウス伯爵家に行くという。
「えー、寂しい!」
ミレーヌが残念がるが、クルトがコボーを預かると、連れて行くことになった。
コーラスは馬の上で、『良かっただろ!』というように握った手を開いてニヤリと笑う。
「何?」
ミレーヌがカイエンに聞くと、カイエンは笑った。
「いや、ミレーヌとマリアがゆっくり過ごせるようにしてくれたんだろ」
「そうかなあ……。
私がコボーでレンダート伯爵家に入るの阻止したんじゃないの……?」
レンダート伯爵夫妻はミレーヌとマリアを歓迎してくれた。
元々この婚約を正式に結ぶ時に、ミレーヌが勇者の曾祖父の才能を受け継ぎ冒険者になりたいと言っていることやカイエンと冒険者パーティを組んで旅をすることを許し、婚約者としているので……。
そして、ウィリアムとマリアの婚約も喜んでくれた。
兄弟と姉妹の結婚となるが、レンダート伯爵家、ミュラー子爵家とすでに二つの家に分かれているし、もともと曾祖父の時からの縁がある家同士だ。
カイエンとミレーヌの結婚も早めることは賛成してくれたが……、ただ、カイエンが17歳になってからと言われてしまう。
実は魔王討伐の時にミレーヌは誕生日を迎え17歳になっていたのだ。
つまり、半年だけミレーヌが年上になってしまう。
あえて、その時期に結婚することはないというのが、伯爵家夫妻の言い分であった。
「半年なんて、結婚式の準備をしていたらすぐよ」
カイエンとウィリアムの母である伯爵夫人がにっこり微笑む。
「ああ、半年後、盛大な式を挙げよう!」
レンダート伯爵が言うが、カイエンとミレーヌは苦笑した。
まあ、急がなくてはいけない理由は……、なくなったとはいえるか……。
半年……、ミレーヌが王都でじっとしていることができるのだろうか?
「明日、王城に魔王討伐の功績のあった者達が謁見に呼ばれているのだろう。
カイエンはミレーヌ嬢を。
ウィリアムはマリア嬢を婚約者としてエスコートする様に」
レンダート伯爵の言葉に兄弟は頷いた。
ミレーヌとマリアは泊まるための客間に通される。
最初、別々の部屋をと言われたのだが、カイエンが口添えしてくれふたりで過ごせるように同室にしてくれた。
「お姉様……、大丈夫?
半年って、けっこう長いわよね!?」
マリアが心配そうに言った。
「うん……、半年も準備って何するんだろう?」
読んで下さり、ありがとうございます。
そりゃ、ドレスを作ったりですね、招待客の調整とか、王都での婚約者としての周知としてお茶会やパーティーに参加とか?
ミレーヌ、大丈夫か!?




