156 ただいま
どうぞよろしくお願いします。
「ただいまー」
レーニアの城のエントランスでジョナサン、ケリー、ゴードン、そしてローレウス領から戻ってきたシーラが、ミレーヌとマリアとコーラスを迎えてくれた。祖父の前辺境伯爵グレアムはモルドバに残った。
ミレーヌが照れくさそうに、ただいまの挨拶を言うと、ケリーがミレーヌをがばっと抱きしめ、シーラがマリアを抱きしめた。
「よしよし」とケリー。
「マリア、頑張った!」とシーラ。
ミレーヌとマリアはニコッとしてから、目がウルウルし始め、唇を震わせ……。
ふたりで揃えたように……、わっ! と泣き出して、母と義姉(予定)に縋りついた。
ゴードンとコーラスとジョナサンはそんな女性陣を見ながらこそこそと「お疲れさん」「いやー、大変でしたよ!」「ミレーヌとマリアのこと、ありがとうな!」などど話していた。
ミレーヌとマリアが落ち着くと部屋で休むようにとなり、それぞれ自分達の部屋に入ることになる。
ミレーヌが城の中を歩きながら中庭を見て言った。
「だいぶ人が少なくなったね」
「ええ、エドワード王子とアルベルト神官がモルドバへ行く時に、レーニアにいて戻りたいと言った住民を連れて行ってくれたから。ミレーヌも会えたんでしょう?」
ケリーの言葉にミレーヌは頷く。
モルドバの街で、まず、エドワード王子には会えた。バルドとカイトとシャルルも一緒で。
ふたりで話をしたいと言われ、エドワード王子の馬車に乗り込んで話をした。
「ジョルジュが迷惑をかけてすまない」
「いえ、私も……、ジョルジュ王子のことを仲間や友と言いながら……。
同情……、してたわけじゃないけど、変に気を遣って……。
確かに、自分がそうされたら、イラつくかもと、後から思いました。
コーラスやカイエンみたいに普通に淡々と何でもなく接した方がお互い気楽だったのかも」
「ジョルジュは気難しいところがあるからな……」
「ふふっ、エドワード王子が言うと、うーん? という感じ?」
「それは、どういうことかな!?」
お互いにふふふっと笑ってから、エドワードが言った。
「カイエンとジョルジュと、……ウィリアムは一緒にいるのだろう?」
ミレーヌは頷いた。
「はい、たぶん三人は一緒だと」
「帰ってくるのを待つのだな」
「はい!」
エドワードは笑って「それはいいな」と言って、出て行くと、入れ違いにアルベルトが入ってきた。
「ジョルジュのことは申し訳ない。
怪我はどうだ?」
「もう大丈夫です。
うっすら傷は残っていますが、痛みもありませんし、体力もだいぶ戻りました」
「……カイエンのことは悪かった」
「アルベルト神官はカイエンに……、何を伝えていたのですか?
ウィリアムが魔王に憑りつかれ……、依り代になっているということは予想されていたのでしょう?」
アルベルトは苦笑した。
「……もし魔王を葬り去れるなら、憑りつかれている者ごと殺せと。
ウィリアムだけじゃない、ジョルジュも依り代になれる可能性があったから……。どちらでも……と」
「そんな……」
「ああ、ひどいことを言ったとは思う。
でも、そこで魔王を完全に退治することができれば、もう魔王は……出現しない。
その後の被害が出なくなる。
そのためにはひとりの命で済むなら……」
「ああ……、そうですか……」
「でも、カイエンにはできなかったようだな」
「そうですね。カイエンは……やさしいですから」
アルベルトはふっと笑った。
「でも、私は話を聞いて……、安心したんだ。
ほっとした。
命じながら、何か他の方法はないかと考え続けていたから。でも、その時は何もなかった。
魔王の完全討伐がなったのか、ならなかったのかはわからないが……。
カイエン、ジョルジュ、ウィリアムが戻ってきたら、魔王討伐に尽力した者として、特にジョルジュは勇者として迎えてやりたいと思う」
「そうですね。
早く帰ってくればいいのに」
アルベルト神官はミレーヌを労わるように手を貸して馬車から降ろしてくれた。
「レーニアでしっかり休め」
「はい」
こうしてミレーヌとマリアとコーラスはレーニアに戻ってきたのだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
次の話で本編完結です!
その後の後日談を書きたいとは思っていて、すぐに完結表示にはしない予定ですが……。
ぜひ、読み終えたら、感想や評価をよろしくお願いします。
もう少し、お付き合いどうぞよろしくお願いします!




