155 消えた三人
どうぞよろしくお願いします。
「……消えた!? 三人とも!?」
マリアが驚きつつ聞き返す。
ミレーヌとマリアは埃だらけで戻ってきたコーラスとクルトから話を聞いていた。
昨夜のことらしい。
魔王城に冒険者パーティと乗り込んだところ、カイエンとジョルジュ王子が魔王らしき男とつかみ合っていて、冒険者の弓手がその男に矢を射たところ、すごい光が発光し、気がついたらカイエンとジョルジュ王子と魔王らしき男の姿がなく、魔王城が崩壊を始めて、命からがら脱出したということだった。
「お嬢さん。コーラスは伝えてくれましたよ」
「え?」
クルトが微笑む。
「ミレーヌは無事だ、お前のことを待っているって。
まあ、絶対という言葉が抜けてたか……」
「……ありがとう、コーラス。クルトも」
ミレーヌはお礼を伝える。
魔王城の転移魔法だろうか?
そうなるとウィリアムが瀕死になっていると考えられるが、カイエンも治療魔法ができるはずなので……、大丈夫だろう、か。
でも、ジョルジュ王子も一緒!?
ジョルジュ王子は何のために呼ばれたの?
王家への復讐? ではないのか?
コーラスが話を続ける。
「魔王城が崩れる少し前から、魔物が襲ってこなくなっていた。
森や山に帰る姿も見られたそうだ。
ミレーヌ……、これは……、とりあえず退治できたということなのか?
それとも、カイエンとジョルジュ王子が何かしていて……、うーん、わからん」
「魔王は誰だったか、わかったのですか?」
マリアが聞いた。
「……それなんだが、カイエンとジョルジュ王子が前にいて良く見えなかった。
暗かったこともあるしな。
弓手もちょうどその男の胸の辺りがふたりの間に見えたから、とっさに放ったらしい」
危ないなぁ。
カイエンかジョルジュ王子に当たっていた可能性もあるのだ……。
マリアは心配そうだが、少しほっとしたようだ。
とりあえず、ウィリアムの名誉は守られた。カイエンが一緒ならば……、怪我をしていたとしても大丈夫ではないかと思える。
ただ、どこに転移したのか……。
マールの手紙にもそれは書かれていなかった。
三人が戻って来てくれるのを待つしかないが、魔王=ウィリアムだとばれていないことや、そういうことを伝えたくてもどうすればいいのかさっぱりだ。
「待つしかないか……」
ミレーヌは呟いた。
マリアがミレーヌの手に自分の手を重ねる。
コーラスとクルトが他にも報告に行かないと、と出て行った。
「大丈夫。きっと三人とも無事です」
マリアが微笑んだ。
「うん、そうだね」
ミレーヌも微笑んだ。
『待つ』という言葉だけでもカイエンに伝わったのだ。
今は、待たなくては!
読んで下さり、ありがとうございます。
後2話で本編完結となります。
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