152 それぞれの戦い
どうぞよろしくお願いします。
「お姉様……。胸がざわざわする」
マリアが胸を押さえてミレーヌのところに来た。
「無理したのではなくて?
一緒に休みましょう」
ミレーヌがマリアに一緒にベッドで寝ようと誘う。
「だいぶ顔色が良くなりましたね」
ほっとしたようにマリアが言って、靴を脱ぐとミレーヌの横に滑り込んだ。
「ふふ、温かい」
「温めておきましたよ、姫様」
「もう! ああ、お姉様と一緒にいると安心する……」
「ええ、私も……」
「カイエン……、ウィリアム様と会えたのかしら……。
たぶん、このざわざわは何かを知らせてくれているのだと思う」
ミレーヌはマリアの頭を撫でた。
「ごめんね。本当なら、一緒に魔王城に……」
「いえ、謝らないで。
今はもう夜ですもの。ウィリアム様のことは祈ります。
お姉様もカイエンの無事を祈るでしょう」
ミレーヌはにっこり頷いた。
「みんなの無事を……」
◇ ◇ ◇
「魔物が消えた?」
コーラスが言った。
クルトがそれに同意する。
「ええ、気配がなくなりましたね。
何が起こっているんでしょう?」
コーラスについてきてくれている冒険者パーティも不思議そうだ。
「……でも、この隙に進みましょう!」
「ああ! 進もう。もう魔王城はすぐだ!」
コーラス達は魔王城のすぐそばまで迫っていた。
◇ ◇ ◇
「不幸になった……?」
ウィリアムの口から怪訝そうな言葉が出た。
「はい、ジョバンニはあなたから解放されても魔王だったことを覚えていて、苦しんだ。
他の者も、手記を残している者が数人いますが、誰にも言えず、全てを隠して、または違う名を名乗り、家族にその後会えずに亡くなった者もいる……」
「……でも、生きているではないか」
「生きてさえいれば、いいと?
あなたは、レイナに助けられ、長生きして大魔法使いになり家族もたくさん持てたのでしょう?」
「ああ、それが母の望みだったから」
「そうです。
ジョバンニの母もそう望んでいたでしょう」
「……なるほど」
ウィリアムの考え込むような言葉……。
何か、オベリウスの心に、響き始めているのだろうか。
ジョルジュがゆらりと立ち上がった。
「ジョルジュ王子?」
カイエンが驚く。
「カイエン、すまない。
私もこいつに、オベリウスに言いたいことがある。
オベリウス。さっき、聖女レイナが炎に包まれたのを見た後に言った言葉が引っかかる。
おかしいだろ!
聖女レイナが、お前の母親が死を選んだのは、王家のせいじゃない!
お前のせいだろ!」
ウィリアムが顔を顰める。
ジョルジュがさらに言葉を続けた。
「なんでもかんでも王家のせいにするな!
魔法使いのオベリウスと聖女レイナに対しての仕打ちは確かにひどいものだったと思う。
ただ、王としては、建国したばかりのジョン王はやり方を間違えたかもしれないが、平和を目指していたことは確かじゃないか?
王国内が揉めないようにということだろ。
私にしてみれば、どっちもどっちだ!」
カイエンが驚きの表情でジョルジュを見ている。
読んで下さり、ありがとうございます。
ジョルジュ! 行け!
後もう少しで本編完結です。
最後までお付き合い、どうぞよろしくお願いします!




