149 魔王の誕生
どうぞよろしくお願いします。
ジョルジュはカイエンを見上げる。
「カイエン! すまないっ! ミレーヌは……」
カイエンはジョルジュを見下ろして答えた。
「大丈夫。命に別状は……。
マリアがすぐに応急処置をしてくれていました。
すぐに回復するまでは無理かもしれませんが、その後の治療もモルドバで受けられているはずです」
「ああ……、良かった……」
安堵のため息とともに言葉を吐き出すジョルジュ。
「良くはない。
ミレーヌを傷つけたという事実はあるし、それに……、こんな形で……、集まりたくはなかった」
ジョルジュは黒ずくめの男を見る。
「……カイエンは知っていたのか?」
カイエンはジョルジュの言葉を無視して男を見た。
「オベリウス、ウィリアムを返してくれ。
お前の復讐は違う形で、王家にもう届いている。
もう……、子孫を巻き込んで不幸な者を出すことはやめてくれ」
男がフードを跳ね上げた。
「ウィリアム!?」
ジョルジュが叫んだ。
魔王オベリウスは自身の手を見た。
14歳の少年の手。
中身がオベリウスであるので、雰囲気は大魔法使いというか魔王というか余裕があり、大人のように見える。
「私が母を亡くした時、ちょうどこれくらいだった……。
私は……、母から7歳の時に父のことを聞いた。
父は母を守るために、抵抗せずに……、してもいない罪で処刑された。
父は大魔法使いで、母は聖女。
あなたにもきっと力がある。だから、周囲の人のために使える人になって欲しいと。
私は……、魔法使いの才能に恵まれた。
父に似たのだろう。
会ったことのない父。私が生まれる前に処刑された父。
そして、王家は母の死を望んで、辺境に追いやった。
母は、私のために生きていたのだろう……」
「だから、魔王になったのか?」
カイエンの言葉にウィリアムはカイエンとジョルジュを見た。
「ああ、栄え始めた辺境の街に、王家が手を伸ばしてきたんだよ。
辺境は……、母が、聖女レイナが身分を隠し、この辺境で生きる住人のために築き、発展させてきた地なのに……。
私と母は身分を隠し、名を偽り……。
でも、とても幸せだった。
自分達のための仕事で、皆が豊かになり……。
なのに、急にここは王国領土として認めてやる、税金と徴兵だと!?
だから……、私は王家と戦おうと……」
「魔王を名乗ったのか。
そして、ここに魔王城を……」
カイエンの言葉にジョルジュが驚く。
「14歳の少年だろう!?
そんな……、力が!?」
「オベリウスとレイナの子ですからね。
それにあなた自身もかなり修行されたんでしょう……」
「ああ、自分達を守るためにね。
私は、その時は14歳の少年だった私は……、母に何も相談せず、魔力の濃いこの地に魔王城を一夜にして出現させ、王家に宣戦布告した」
「なるほど……、確かにこの遺跡には人のものではない魔力が残っていて……。
地脈の流れですか。
だから……」
「ああ、自分の魔法の力を増幅させることができる。
それで、私は、少年の正義感と自分の魔法の力を……信じて、始めてしまったのだ。魔王オベリウスを」
読んで下さり、ありがとうございます。
後10話くらいで完結です。
本編は完結。
その後、登場人物達のその後をちょこっと後日談的に書けたらと思っています。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。




