表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第5章 魔王の正体と倒し方
148/247

148 最初の魔王

どうぞよろしくお願いします。

 ミレーヌ……。

 ミレーヌのことは好きだ。

 自分を見て欲しいと思う。自分を認めて欲しいと思う。

 でも……。


 ふっとジョルジュの意識が今に戻り、過去が消えていくような感覚がした。


 母はもういない。

 王妃の代わりに地方の教会の視察へ行くという突然の公務があり、母とジョルジュで行った。

 母はその地で体調を崩した。

 王都には戻って来れたが……。

 まもなく、亡くなった。

 ベッドに横たわり、寂しげな笑顔の母。

 そして、もしかしたら、王妃の代わりに毒殺されたのではということを、後から聞いた。

 危険があるとつかんでいながら、王家の誰かが行かなくてはならなくなり、母と自分が差し出されたわけだ。

 なのに、なんで微笑んでいたんだ?


 ミレーヌも……、ジョルジュが落ち込んだり、焦ったりしているのを気にして寄り添おうとしてくれていたのに。自分が勝手にいらいらして、同情されたくなくて。

 ジョルジュに斬られて、悲しそうに、でも、微笑んで見せたミレーヌ。


「ああ……、私は大切にしたいものを永遠に失ったのだな……」


 声が自然に漏れた。

 その自分の声に驚く。

 周囲を見回すと、どこかの建物の中?


「……建物には魔物が……!?

 私は何を?」


 剣を握ろうとするが、腰に鞘はあるのに剣はない!?


「え?」


 だんだん頭の中がクリアになっていく。

 ミレーヌを斬った時の腕の、剣の、感触が蘇る。

 そして、剣を落として、響いた音……。


「う……、うわぁ! 斬りたかったわけじゃない!!」


 呟いて、また過去の思い出の中に沈みそうになり……、気がついた。

 同じ部屋に、誰か、いる。


「……誰だ!?」


 部屋の暗がりからゆらりと現れたのは、黒ずくめの服にフードを被り、顔を隠しているような男だった。


「もしかして……、お前が……」


 自分は剣を持っていない。ジョルジュの口が乾く。

 そういえば、何故、私はここにひとりでいるのだ?


「ジョルジュ王子……。よく来たな。魔王城に」


「魔王オベリウスか!?」


 叫んで腰に手をやるが、剣がない。

 どうしたら!?


 慌てて火魔法を発動させ、ぶつける。

 黒い服の男は魔法の防御壁を発動させ、炎は男に到達する前に阻まれ、弾けた。

 その一瞬の爆発の炎の中に何か、見えたような……。

 ジョルジュはその場に跪いた。



 黒髪の少年が涙を流しながら、炎を見つめている。

 炎の中には母。

 

『生きて!

 オベリウスと私の命を繋いで!

 生きるのよ! 復讐など考えないで!

 私達の大切な息子……、宝物、命……。

 あなたが生きて、命を繋いでいくことが……。

 母と父の願いです!!』


『母さん!!』


 黒髪の少年が叫んだ。



「なんだ!? この記憶は?」


 ジョルジュが頭を抱える。


 黒ずくめの男がゆらりと右手を挙げた。


「お前にも見えるのか……。

 王家が私達にしたことだ……」


「王家が? 私達?」


「王家への復讐……、それだけ。

 母には止められたが、私は生きて、家族を作り、生きて……。

 家族という大切な……、大切な存在を、親として、祖父としての立場で知るうちに……。

 父と母の無念さを、改めて知ったのだ……」


「お前は……、王弟オベリウスと聖女レイナの息子の、オーリか?」


 ジョルジュが気づいたように口にすると、男の動きが止まった。


「……オーリ。母はそう私を呼んだが。

 私はオベリウスの息子。そして私が産まれる前に処刑された……、してもいない罪を押し付けられ処刑された父の名をもらい……。本当の名はオベリウスだ」


「最初の魔王?」


「最初であり……。その後もずっと私だ……。

 私は自分の血を継ぐ子孫を見守り……、王家への復讐を……」


「オベリウス!!

 ウィリアム! 目を覚ませ!」


 ふたり以外の人物の声が部屋に響いた。

 うずくまるジョルジュの横に立ったのはカイエンだ。


読んで下さり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ