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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第5章 魔王の正体と倒し方
146/247

146 待つ

どうぞよろしくお願いします。

 コーラスとクルトは一度、部屋に入りミレーヌとマリアに声を掛けた。


「ミレーヌ、マリア、ここにいてくれ。

 俺はカイエンを追おうと思う」


 クルトはしかめっ面でコーラスを見る。


「付き合うよ。気になる。何があったか」


 目を閉じて横になっていたミレーヌが目を開く。


「カイエン……、ひとりで行かせてしまった。

 最後まで一緒にいようと思っていたのに。ひいお婆様も教えてくれたのに……。

 マリアもごめん……」


 クルトがミレーヌに声を掛けた。


「お嬢さん、今はしっかり休むんだ。

 何かカイエンに伝えたいことはあるかい?」


「……絶対待ってるって」


 ミレーヌはそこで目を閉じた。涙が閉じた目から溢れるように流れる。

 コーラスは手を伸ばし、ミレーヌの涙を拭ってやる。


「伝えてやる。今は休め」


 ミレーヌはいやいやと首を振ってから、毛布を引き揚げて潜り込むように……。

 毛布の山が震え、嗚咽が聞こえる。


「なんで、こんなに!?」


 クルトはコーラスとマリアを見た。


「……お姉様は、魔王の所まで私と一緒に行くことを約束してたんです。

 私はウィリアム様を思っていて、お姉様はカイエンを……。

 魔王に憑りつかれているのがウィリアムだと知ったら、カイエンが困ると思っていたのでは?」


「ウィリアム?

 カイエンは……、魔王城に行ったのか!?

 ジョルジョ王子は?」


 コーラスの呟きにマリアが言った。


「ジョルジュ王子も魔王城に向かっていると思うわ」


「でも、魔物に襲われるだろ?」


 クルトの言葉にマリアが首を振った。


「お姉様が倒れた後、ジョルジュ王子の気配が変わりました。

 もしかしたら、魔王に呼ばれていたのかも」


「……ウィリアムに?」


 聞き返したコーラスにミレーヌがしゃくりあげながら毛布の下で言った。


「……ううん、お、オベリウスに。

 わ、私、ジョルジュ王子、王子のこと……。

 気を遣い、過ぎた、の、かも。

 気持ちが不安定になってて、さらに、私に怪我を!

 怪我をさせてしまったっていう負い目、や、そういう気持ちがっ!

 私に怪我をさせてしまったってショックが……。

 魔王につけ入る隙を与えてしまったのかも……」


「俺達も追いかけよう」


 コーラスがクルトに言った言葉にミレーヌが毛布から顔を出し、起き出そうとするが、できずに横になる。


「……待って!

 コーラスは魔物に襲われちゃう!」


 ミレーヌはそれだけ言うと大きく息をついた。

 マリアがミレーヌの手を握る。


「お姉様、今は休んで下さい!」


「でも……、コーラス、クルト……。

 無理しないで!

 魔王城まで、みんなで進軍して。

 今は……、もう……。待った方がいい……」


 マリアがミレーヌの目元にハンカチを優しく押し当てた。

 

読んで下さり、ありがとうございます。

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