146 待つ
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コーラスとクルトは一度、部屋に入りミレーヌとマリアに声を掛けた。
「ミレーヌ、マリア、ここにいてくれ。
俺はカイエンを追おうと思う」
クルトはしかめっ面でコーラスを見る。
「付き合うよ。気になる。何があったか」
目を閉じて横になっていたミレーヌが目を開く。
「カイエン……、ひとりで行かせてしまった。
最後まで一緒にいようと思っていたのに。ひいお婆様も教えてくれたのに……。
マリアもごめん……」
クルトがミレーヌに声を掛けた。
「お嬢さん、今はしっかり休むんだ。
何かカイエンに伝えたいことはあるかい?」
「……絶対待ってるって」
ミレーヌはそこで目を閉じた。涙が閉じた目から溢れるように流れる。
コーラスは手を伸ばし、ミレーヌの涙を拭ってやる。
「伝えてやる。今は休め」
ミレーヌはいやいやと首を振ってから、毛布を引き揚げて潜り込むように……。
毛布の山が震え、嗚咽が聞こえる。
「なんで、こんなに!?」
クルトはコーラスとマリアを見た。
「……お姉様は、魔王の所まで私と一緒に行くことを約束してたんです。
私はウィリアム様を思っていて、お姉様はカイエンを……。
魔王に憑りつかれているのがウィリアムだと知ったら、カイエンが困ると思っていたのでは?」
「ウィリアム?
カイエンは……、魔王城に行ったのか!?
ジョルジョ王子は?」
コーラスの呟きにマリアが言った。
「ジョルジュ王子も魔王城に向かっていると思うわ」
「でも、魔物に襲われるだろ?」
クルトの言葉にマリアが首を振った。
「お姉様が倒れた後、ジョルジュ王子の気配が変わりました。
もしかしたら、魔王に呼ばれていたのかも」
「……ウィリアムに?」
聞き返したコーラスにミレーヌがしゃくりあげながら毛布の下で言った。
「……ううん、お、オベリウスに。
わ、私、ジョルジュ王子、王子のこと……。
気を遣い、過ぎた、の、かも。
気持ちが不安定になってて、さらに、私に怪我を!
怪我をさせてしまったっていう負い目、や、そういう気持ちがっ!
私に怪我をさせてしまったってショックが……。
魔王につけ入る隙を与えてしまったのかも……」
「俺達も追いかけよう」
コーラスがクルトに言った言葉にミレーヌが毛布から顔を出し、起き出そうとするが、できずに横になる。
「……待って!
コーラスは魔物に襲われちゃう!」
ミレーヌはそれだけ言うと大きく息をついた。
マリアがミレーヌの手を握る。
「お姉様、今は休んで下さい!」
「でも……、コーラス、クルト……。
無理しないで!
魔王城まで、みんなで進軍して。
今は……、もう……。待った方がいい……」
マリアがミレーヌの目元にハンカチを優しく押し当てた。
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