142 穏やかな夜
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その日の夜、ミレーヌ達のパーティは見張りを免除されて与えられた部屋で過ごしていた。
屋根があり、窓があるという部屋だ。特に家具があるわけでもないが、外の土の上で毛布にくるまって寝るよりは格段に過ごしやすい。
明日からモルドバの奪還が始める。
そのため、攻め込む者達はしっかり休むようにということだ。
「グレイウルフとレッドバブーンが最初の時にはいたよな。
それにロックイーグルが空からか……。
他に加わった魔物もいるかもしれない。
街に入ると建物で見通しが悪くなる。
パーティで離れないように進もう」
カイエンの言葉にコーラスとジョルジュが頷く。
「ジョーは魔法もできたよね」
ミレーヌが言うと、ジョルジュが「炎と土なら」と答えた。
「炎なら魔物も恐れるし、いいと思う。
街の中の……、がれきというか、石の壁の廃墟みたいな所限定かな。
そういうところでなら使える。
土魔法は……、あまり場を荒らすと後が大変になりそうだな?」
「ああ、ただ、足場を崩して、その後戻しておけばいいのでは?」
コーラスやカイエンがアドバイスすると、真剣な顔でジョルジュが頷く。
ふたりは少し意外そうに顔を見合わせ、コーラスは首を捻って見せた。
そして、ミレーヌ達に声を掛ける。
「マリアとミレーヌは、カイエンから離れるなよ!」
ミレーヌが返事をした。
「前と、シーラがいる時と同じ。
コーラスとジョルジュは前衛で、後衛がカイエンとマリア。
私はその時の状況でどちらも動ける感じ」
「わかってる。無理するなよ」
「うん、わかってる。
ジョーも焦ることがあるかもしれないけれど、みんなと一緒に歩調を合わせてね!」
ジョルジュは「ああ」と短く返した。
「では、明日に備えて、もう寝よう」
カイエンは部屋の真ん中に置いた魔道具の灯りを小さくした。
「おやすみ」「おやすみなさい」とみんなで言い合って部屋の中で横になる。
マリアとミレーヌは部屋の奥の隅にふたりで寄り添うように寝た。
次の日、起きて外へ出ると、夜、グレイウルフの襲撃があった話を聞いた。
柵がより頑丈に数も増えたおかげで、柵越しに魔法使いや弓手が活躍したとのことだ。
モルドバの街まで馬車なら30分。歩いたら1時間半というところか。
騎士達が馬の後ろにミレーヌ達を乗せてくれることになった。
パテマのクルトとザッシュもコボーに乗って出るという。
コボーは2頭だけにして、残りの2頭は拠点に残していくそうだ。
モルドバの街の門の前、20分ぐらいでついてしまい、手前で様子を窺いながら軍が揃うのを待つ。
その間にロックイーグルが偵察&威嚇してくるので、カイエンが風魔法で近くを飛んでいた2羽を衝突させた。
それを見て、慌てたように他のロックイーグルは飛び去り、落ちて来てヨロヨロしていた2羽は冒険者達が仕留めた。
その間に進軍が揃い、モルドバ攻略が始まった。
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