140 一緒に行くわ
どうぞよろしくお願いします。
昼頃。ギルド長達が拠点に到着した。
まだ本隊はこれからで、先陣のみの到着だが拠点は活気ある雰囲気になった。
次々に柵や、小屋が立てられ、今夜から屋根の下で休めることになりそうだ。
マリアとミレーヌも食事を作ったり、光の魔道具の柵への設置を手伝ったりして一緒に過ごしていた。
ふと、周囲に人がいない時に、ミレーヌがマリアに確認する様に言った。
「マリア……、これからモルドバへ、魔王城へ戦いに出ることになるけれど……。
マリアはどうする?」
「どうするって?
パーティなんだもの一緒に行くわ」
マリアは微笑む。
「でも……、危ないことが増える……」
ミレーヌが心配そうに言った。
「危ないことや怪我をしてしまう危険性が高いからこそ、私やお姉様が一緒に行くんでしょ?」
「それはそうなんだけど……」
「私が行きたいの。
ウィリアム様が、魔王城にいる気がするの」
ミレーヌはびっくりして妹であるマリアを見た。
「お姉様もそう考えているんでしょ?
カイエンも……、あとアルベルト神官も、かな?」
マリアはふふっと笑った。
「他の人ももしかして……と思ってはいるかもだけどね。
お姉様にだけしか言わないけど、私の勘がそう言ってる」
「マリア……、あなた……、助けたいと?」
マリアは頷く。
「ウィリアム様を助けたい。
そばにいたのに、私は何もできなかった。
今はただそばに行って話したい。話を聞いてあげたい……。
それだけ。
だから、私は一緒に行く」
マリアの真っすぐな視線にミレーヌは一瞬、息を飲んでから頷いた。
「うん、わかった。
もう言わないね。一緒に……、魔王の所まで辿り着こう!」
「うん!」
マリアが笑う。
そうなのだ。ウィリアム=魔王の依り代かもしれないということは、魔王が魔法使いに憑りつくことを知っている者なら考えついていることだと思う。
でも、誰も言い出さない。
カイエンもアルベルトも内緒にしようとしている。
なので、ミレーヌもあえて言わず、そこを結び付けていないようなふりをしている。
ジョルジュはどうなのだろう?
まあ、ウィリアムがまだ14歳の少年だということで、意識的に選択肢から外しているのかもしれない。
夕方までには本隊も到着し、拠点は砦のような様相となっていた。
本隊からの報告では、王都から伝令が戻って来て、王家からエドワード王子とマリオン侯爵と王家の騎士団を中心にした討伐軍が既に出立したそうだ。
近隣の貴族達も、王家の軍に騎士を合流させているようだ。
自分達の領内も守らなければならないが、誰も出さないわけにもいかないというところだろうか。
まあ、こういう場合に備えてレイオス辺境伯爵家、ローレウス伯爵家を貴族として取り立てたのだという高位貴族達の思いも根底にはあるようだし……。
それにしては王家が今回はかなり力を入れているので、参加しておかなくては、という雰囲気になっている。
なにしろ、今回は王家の王子三人が討伐に参加しているのだ!
読んで下さり、ありがとうございます。
マリア……、ええ子や……。
昨日、自分が書いた『転生ガチャ』の守護霊マッちゃんがネモを守って熊魔獣と戦うところを久しぶりに読み返して、思わずウルウルしてたら息子に「何読んでるの?」と聞かれました。
自分の書いた過去作を読んで泣いたと話したら「やばいな」と言われました。
書いたことを忘れているわけじゃないんですけど。
久しぶりに読み返すと、書いていた時よりも登場人物の心情がよくわかるような気がします。




