138 称賛
どうぞよろしくお願いします。
「素晴らしい戦いでした!」「これなら魔王に勝てる!!」「いやー、さすが勇者のパーティだ!」
グレイウルフの死体を収納魔法で回収して拠点に戻ると、ジョルジュとコーラスは冒険者パーティや騎士達に囲まれ称えられる。
すごいのはカイエンの魔法だ。
彼のおかげで自分の実力以上の力が出せている。
コーラスはわかっていた。何も言われなかったが、力を上げる付与魔法をコーラスとジョルジュにかけている。
「どうもありがとう。そう言ってもらえるとうれしいよ」
ジョルジュは控えめに微笑んだ。
その様子を見てコーラスはジョルジュも気づいていることに気がついた。
「うわ! 目をつぶっても視界が明るい!?
すごいね! この魔法!」
「ああ、効力が切れるまで寝られないのが難点なんだよな……」
「でも、夜に使う魔法だしね。1時間ぐらいなら、しょうがないんじゃない?」
ミレーヌとカイエンは楽しそうに話している。
ミレーヌの何でも楽しんでしまうような……、そういう姿を眩しそうに見ているジョルジュ。
そんな明るくて強いミレーヌがそばにいてくれたら、人生は明るく楽しいものになるのかもしれない。
「グレイウルフも退きましたし、今夜はもう襲ってこないでしょう」
騎士達がそう話しているが、冒険者パーティはまだ気を抜くべきではないと言っている。
意見を求められコーラスが言った。
「夜だけ出てくる魔物もいる。魔王がそばにいる状態なんだ。
いつ次の群れが来てもおかしくはない。交代で警戒に当たろう」
コーラスがジョルジュを見た。
ジョルジュにも勇者として一言話せというように。
「先ほど、交代で休むように皆が検討していたが、それでいいと思う。
明日、本軍と合流するまで! 頑張ろう!」
そう言ってジョルジュはカイエンとミレーヌを見た。
ふたりは頷いてくれた。
マリアとミレーヌは祖父と馬車の中で休むことになった。
ただ、ミレーヌは視界の魔法が解けていないので、それまでは外で警戒に当たることに。
コーラスがカイエンに声を掛け、何やら相談を始めた。
ジョルジュとミレーヌは柵のぎりぎりあたりでふたりで警戒を続けてる。
「あれ? 手、怪我?」
ミレーヌが手袋を外したジョルジュの右手の甲を見て言った。
「あ、これは前の……。
治りかけてた傷がぶつけたみたいで、開いてしまったようだ」
「前から怪我してたの!?
早く言ってくれれば、私かマリアが治せたのに! 手、貸して!」
ミレーヌは右手を引っ込めようとするジョルジュから強引に右手をつかんで自分の方に引き寄せると治癒魔法を掛けた。
ジョルジュの身体に温かい力が伝わり、戦いで高揚していた気持ちがほっと緩むような癒されるような気がした。
「ありがとう、ミレーヌ」
「ちゃんと言ってよね!
我慢したり、悪化する方が戦いに支障が出るんだから」
「うん……、ちゃんと言う」
ミレーヌがはっとした。
「あ、今の私、肝っ玉母さんみたいだった!?」
読んで下さり、ありがとうございます。




