136 バレバレ
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「では、その息子のオベリウスが最初の魔王だったのでは?」
ジョルジュが言った。
「最初の魔王が現れた時、14歳くらいだろう?
母親に自分の出生の話を打ち明けられてとか。
父親の魔法使いの才能が引き継がれていたら?」
「でも……、後々までこの世に魂だけ、意識だけ留まるなんて……。
それこそ、年齢を重ねて修行し、全てを超越するような大魔法使いにでもならなければ無理だと思う。
俺は魔法使いの能力が高いと言われ、今、16歳だが、現在、そこまでの力はない」
カイエンの言葉にジョルジュが考え込みながら、呟く。
「そいつが最初の魔王だとしても、14歳くらいで死んでるんだもんな」
ミレーヌが言った。
「レイナは息子が魔王だと気づいていて、討伐に加わったのだろうか?」
みんなで首を傾げる。
周囲はすっかり暗くなってきている。
その時「魔物の群れだ!」とコーラスの声がして、ジョルジュ、カイエン、ミレーヌはそちらに走りだした。
「お爺様!」
マリアがグレアムのそばに来る。
「マリア、私達はここで大きな焚火の火を絶やさないようにしよう」
グレイウルフの20頭ほどの群れがモルドバの方向から拠点を窺っている。
騎士もいるし、前に戦ってひどい目に合ったミレーヌとカイエンを覚えているのかもしれない。
クルトとザッシュやギルド職員が馬やコボーの方を警戒に行く。
「今は睨み合いかな」
コーラスが言ってカイエンを見た。
「ああ、さらに暗くなるのを待っているんだろう。
こちらは防御に徹しよう。明るくなれば退くだろうし」
「夜明けまでか、長いな」
「でも守るだけだ。そう考えれば無理なことじゃないさ」
「ああ、体力温存だな。しかし寝不足は辛いぜ」
「明日にはギルド長達の本軍が到着する。
それまでの我慢だな」
その言葉に一緒にいる騎士や冒険者パーティが自主的に仲間の中で交代して休めるように話し合いを始めた。
グレイウルフ達はこちらを窺っている。
ミレーヌは「光の魔法剣でも打ち込んでみる? 驚いて、もう少し距離を取るかも」と言った。
「あ!? あの光の剣!」
ジョルジュの言葉にミレーヌが微笑む。
「そう、あの目つぶしの剣!
威力的にはそんなでもないけど。奇襲としては使えるよ。
向こうに放てば、こちらの人の目には入らないし」
コーラスが笑う。
「そうだな、こっちから少し仕掛けてやってもいいだろう。
カイエンも、夜の戦い、苦手な方じゃないだろ?
暗闇でも見える魔法!
俺もシーラも初っ端、夜の戦闘に付き合わされて驚いたからな!?」
「あ!?
よく覚えてるな……」
カイエンが苦笑する。
「え、それ何?
そんな魔法があるの!?
私かけてもらったことない!?」
ミレーヌがカイエンに詰め寄り、コーラスが笑う。
「あの時は俺達の実力を見たかったなんて言って、ミレーヌをうまく丸めこんでいたけど、もういろいろバレバレだからな」
「いろいろ? バレバレ? 何が?」
ミレーヌが首を傾げ、コーラスが我慢できないように吹き出した。
「ちょっ、コーラス! なんだよ!」
ミレーヌがムッとしている。
「お前らって……、本当に仲が進展してるの?」
「ああ、すぐにでも結婚しようって話してる!
私としては今回の騒動で、時期が延びそうだから、もう結婚前にそうなっちゃてもいいと言ってるくらいだ!
なのにカイエンはキスぐらいしか……」
「え?」
コーラスが目を見開きカイエンを見た。
カイエンが真っ赤になっている。
それを見てミレーヌも「あ……」と赤くなって固まった。
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あー。




