135 誰の子ども?
どうぞよろしくお願いします。
「建国時の聖女? レイナ?」
カイエンが呟く。
カイエンも自分で調べていることがあるようだけど、どこまで知っているのか?
ミレーヌは説明する様に話し出した。
「正史だと王弟オベリウスと恋人であった聖女、レイナ、両方とも名は残されていません。
しかも、オベリウスの処刑後、レイナは王妃になる。
その後に王国が天候不順に悩まされ……」
グレアムが続けた。
「そうだ。
王弟オベリウスを唆して嵌め、さらに王を騙して王妃となった悪女で、王家を二重に裏切っていたと。
しかし、聖女が王家を裏切っていたとは公表もできず、廃妃とされ、正史から抹殺されたというわけだね。そして、彼女は追放された、辺境へね。
女性がひとりで、聖女の力があるにしても、当時としては死刑と等しい処罰だ」
「聖女レイナがレーニアの……」
ミレーヌはレーニアの街の歴史の本を取り出すとページをめくり「あった!」と叫んだ。
「この知識を与えた女性というのがレイナだとして、最果ての街へ来て、まもなく息子を産んでる。
息子の名前は……、読めないな、お爺様、わかる?」
「どれ? 綴り的に……。オー? オーリか?」
「レイナが王妃であったなら、そのオーリとやらは王の子?」
ジョルジュの言葉にミレーヌは自分のお腹に手を当てながら言った。
「オベリウスの子だったんじゃないの?
レイナとお腹の子が人質になってて、オベリウスは言い訳もできずに逃げられなかった、とか?」
「まあ、そのほうが自然だな。オベリウスは子どものことは知らなかったかもしれないが……」
カイエンが呟き、ジョルジュの強い視線に気づいてたじろいだ。
「え? あ?
そんなことは!? ミレーヌとはまだしてないですよ!」
「まだってなんだよ!?」
「だから、その……。結婚するまではと……」
カイエンのあわてた様子にグレアムが笑った。
「そうだな。推測だが、そう考えるとオベリウスがおとなしく処刑されたことも……。
レイナとオベリウスは恋仲で、結婚の約束もしていたことだろう。
建国のためにふたりとも働いていたのだから、建国が成ったことでまあ少々フライングしてしてしまったとしても責める者はいまい。
ただ、王になったオベリウスの兄ジョン王は国民から人気のあるふたりを恐ろしく思ってしまったのだろう……。
それで、オベリウスを捕らえ、処刑。聖女レイナを王妃とした。
神は、それを許さなかったのだろうな。
聖女の悲しみが天に伝わったのかもしれない……。
天候不順や天災が起こり、王は、国民の不満を収めるために、王は聖女が罪を犯したと断罪して廃妃にして死と同等の追放とした」
「でも、追放後に天候は落ち着いてたが?」
ジョルジュの言葉にミレーヌが微笑む。
「レイナとしてはこれで、無事にオベリウスの子を産むことができる! というところじゃない?
となると、息子に亡くなった父親の名を、オベリウスと名付けることもあるかも。
だから、名前をぼかして通称みたいな?」
「レイナという名も使わないようにしていたのかもしれない」
グレアムの言葉にミレーヌは頷く。
「うん、それなら納得できる。
建国のために働いていたのなら、街の基礎を立ち上げることもできただろうし、農工業などの知識もあっただろうしね……」
読んで下さり、ありがとうございます。
ミレーヌがお腹を触って言うから……。
でも、レイナの気持ちを考えるなら、お腹を触って考えますよね?




