13 前衛と後方支援
どうぞよろしくお願いします
ミレーヌとコーラスが前の焚火で交代をしながら警戒して過ごし、シーラとカイエンが後ろの焚火で過ごしていて夜が明けた。
朝食はパンに野菜とチーズを挟んだ物をとお茶。
シーラが作り、ミレーヌとコーラスに届けてくれたのだ。
その時、あれから後ろの焚火の奥でもビッグポイズンスパイダーが出たことを話してくれた。
夜明け近く、遠くにいる状態だったので、少し近付き、シーラに防御はどんなのが張れるか、攻撃力を上げる付与魔法は使えるか、これぐらい離れていて感知ができるか、攻撃系の魔法は使えるのか……などなどいろいろ質問され、実際にできることはやって見せた。
最後はカイエンが風魔法で頭を真っ二つにしたそうだ。
コーラスも昨夜の出来事を話した。
「……俺に暗闇でも見える付与魔法をかけてくれて、俺が止めを刺したけど。
あいつ、すげえな。ひとりでやれる実力があるからだとは思ったけれど……、一撃。マジか……」
「強すぎ!?
私、戦わせてもらえない!?」
ミレーヌが悔しそうに言った。
「私、文句言ってくる!」
ミレーヌがカイエンの所へ行ってしまうのをシーラとコーラスは見送った。
パーティとしては強い魔法使いがいるのはいいことにちがいない。
しかし、カイエンがミレーヌを特別扱いすれば、トラブルになりそうな……。
「コーラスはカイエンとミレーヌが決裂した方が都合がいいんでしょ?」
シーラの言葉にコーラスは首を傾げた。
「うまくいかなくて婚約解消しないかなとは思うけれど、カイエンのこと、嫌いじゃないぜ」
シーラも微笑んだ。
「実は私も……、なかなか面白そうじゃない!?」
ミレーヌはカイエンの前に駆けていく。
「おはよう、ミレーヌ!」
にこやかに挨拶され、このもやもやをどうぶつけたらいいのか戸惑うミレーヌ。
口ごもりながら「おはよう」と言ってから「昨夜のことだけど、私だけ戦わせてもらってない!」と切り出した。
カイエンは落ち着いている。
「このパーティの攻撃はコーラスが主でしょ。
前衛に出ることも多いだろうし。
だから、コーラスの力を最初に見たかったんだ。
それから、後方を任せることになるシーラの力もね」
「私はどっちでも、できるけど……」
カイエンが真顔になった。
「だからだよ。
まず前衛と後方支援の力量がわかれば、対処する魔物によって、ミレーヌにどう動いてもらうかが決まる」
ミレーヌが首を傾げた。
「つまり、私はどっちもできるから、場合によってはどう動くか。
その判断のために、コーラスとシーラの力を先に見たかったってこと?」
「そう」
ミレーヌは考え込んだ。怒りはもう治まった様子。
「……わかった。
でも、ちゃんと説明して欲しい。
私だけ、戦いから遠ざけられてるのかと……、思った」
「そんなことはないよ。
わかってる。ただ、ごめん。もう旅も仕事も始まっているから、実戦の機会を捉えてそれぞれの力を見たかったわけで……」
「おはよう! おふたりさん!
昨日は何かあったのか!」
商人達が起き出してきた。
読んで下さり、ありがとうございます。
ミレーヌ、ちょっと丸め込まれるの早くないか!?
まあ、素直に言いたいことはすぐ言うから、ため込まないのはいいと思います。




