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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第2章 パーティ『暁の勇者』
13/55

13 前衛と後方支援

どうぞよろしくお願いします

 ミレーヌとコーラスが前の焚火で交代をしながら警戒して過ごし、シーラとカイエンが後ろの焚火で過ごしていて夜が明けた。


 朝食はパンに野菜とチーズを挟んだ物をとお茶。

 シーラが作り、ミレーヌとコーラスに届けてくれたのだ。

 その時、あれから後ろの焚火の奥でもビッグポイズンスパイダーが出たことを話してくれた。

 

 夜明け近く、遠くにいる状態だったので、少し近付き、シーラに防御はどんなのが張れるか、攻撃力を上げる付与魔法は使えるか、これぐらい離れていて感知ができるか、攻撃系の魔法は使えるのか……などなどいろいろ質問され、実際にできることはやって見せた。

 最後はカイエンが風魔法で頭を真っ二つにしたそうだ。


 コーラスも昨夜の出来事を話した。


「……俺に暗闇でも見える付与魔法をかけてくれて、俺が止めを刺したけど。

 あいつ、すげえな。ひとりでやれる実力があるからだとは思ったけれど……、一撃。マジか……」


「強すぎ!?

 私、戦わせてもらえない!?」


 ミレーヌが悔しそうに言った。


「私、文句言ってくる!」


 ミレーヌがカイエンの所へ行ってしまうのをシーラとコーラスは見送った。

 パーティとしては強い魔法使いがいるのはいいことにちがいない。

 しかし、カイエンがミレーヌを特別扱いすれば、トラブルになりそうな……。


「コーラスはカイエンとミレーヌが決裂した方が都合がいいんでしょ?」


 シーラの言葉にコーラスは首を傾げた。


「うまくいかなくて婚約解消しないかなとは思うけれど、カイエンのこと、嫌いじゃないぜ」


 シーラも微笑んだ。


「実は私も……、なかなか面白そうじゃない!?」




 ミレーヌはカイエンの前に駆けていく。


「おはよう、ミレーヌ!」


 にこやかに挨拶され、このもやもやをどうぶつけたらいいのか戸惑うミレーヌ。

 口ごもりながら「おはよう」と言ってから「昨夜のことだけど、私だけ戦わせてもらってない!」と切り出した。


 カイエンは落ち着いている。


「このパーティの攻撃はコーラスが主でしょ。

 前衛に出ることも多いだろうし。

 だから、コーラスの力を最初に見たかったんだ。

 それから、後方を任せることになるシーラの力もね」


「私はどっちでも、できるけど……」


 カイエンが真顔になった。


「だからだよ。

 まず前衛と後方支援の力量がわかれば、対処する魔物によって、ミレーヌにどう動いてもらうかが決まる」


 ミレーヌが首を傾げた。


「つまり、私はどっちもできるから、場合によってはどう動くか。

 その判断のために、コーラスとシーラの力を先に見たかったってこと?」


「そう」


 ミレーヌは考え込んだ。怒りはもう治まった様子。


「……わかった。

 でも、ちゃんと説明して欲しい。

 私だけ、戦いから遠ざけられてるのかと……、思った」


「そんなことはないよ。

 わかってる。ただ、ごめん。もう旅も仕事も始まっているから、実戦の機会を捉えてそれぞれの力を見たかったわけで……」


「おはよう! おふたりさん!

 昨日は何かあったのか!」


 商人達が起き出してきた。

読んで下さり、ありがとうございます。

ミレーヌ、ちょっと丸め込まれるの早くないか!?

まあ、素直に言いたいことはすぐ言うから、ため込まないのはいいと思います。

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