128 約束
どうぞよろしくお願いします。
「カイエン、アルベルト王子に……、神官様に何を言われたの?」
「それは……、ごめん。話せない。ごめん」
ここはカイエンの部屋。
ミレーヌは話をしようと押しかけてきていた。
ミレーヌから目を逸らすカイエン。
ミレーヌは悲しげな表情をしたが、ぱっと微笑むとカイエンに話しかける。
「わかった、もう聞かない」
たぶんウィリアムのことだろう。
アルベルト王子もウィリアムが今回の魔王の身体となってしまったのではと思っている。
それを内緒にすることでカイエンに協力させようとしているのだろう。
でも、ウィリアムはまだ14歳。魔王として不十分なのではないだろうか?
前にカイエンが『強い魔法使いが憑りつかれると厄介だ』というようなことを話していた。
ウィリアムも魔法協会ではエリートの、才能ある者ではあろうが、まだこれからという少年と言ってもいい。
前回の曾祖父母の時よりは攻略が早いかもしれない。
それに今回はジョルジュ王子が、王家から討伐に参加している。
討伐軍の士気も高くなるだろう。
「グレイウルフとレッドバブーンが群れでいたけど、あれは魔王が従えてるの?」
ミレーヌの言葉にカイエンが話し出す。
「ああ、魔王の呼びかけに応じて集まってきた魔物達だ。
ミレーヌは生き物はみんな魔物ってこと知ってるよね?」
「うん、魔力を持つからね。
それで言えば、人間も魔物だよ」
「そう、魔王の力が強ければ、人間の中にも応えて集まってくる者が出てくる……。
今の王国に不満がある者、居場所がない者……」
曾祖母のマールに聞いたことがある。
王国のやり方に反対し、魔王の元に集った人々もいたこと。
当時は内乱後で王国内でも貧富の差が激しく……。
「動物の魔物は呼応したり、集まったりしているが、人間は集まってきていない。
早いうちに討伐を始めた方がいいだろう」
カイエンの言葉にミレーヌは頷いた。
「そうだね。
それで、この魔王討伐が終わったら、結婚しよ!」
カイエンが驚いた表情をしてから、微笑んだ。
「うん、ありがとう」
「私としては、もう今、結婚しちゃってもいいくらいなんだけど」
そう言いながらミレーヌはカイエンに抱きついた。
「え!?」
カイエンが赤くなって……。
「もう、一緒の部屋で、同じベッドで寝た仲じゃない!」
「それは……、言葉としては合っているけど、意味が違うし……」
「私は……、言葉も意味も同じになってもいいよ。
私の婚約者で恋人で、夫になるのはカイエンだから」
「ミレーヌ……。
うん、この戦いが終わったら、結婚しよう!」
「うん、約束!」
ミレーヌとカイエンはお互い自然に顔を寄せ合い、唇を重ねて……、長い口づけを交わした。
ふたりはそっと離れると、顔を見合わせて、笑った。
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