125 しなければならないこと
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌは図書室まで早足で進みながら考えていた。
オベリウスが冤罪で殺されたなら?
正しいことが行われなくて、王が罪を犯したのなら、それに聖女も?
そもそも大魔法使いを捕らえるのは大変だろうに。
おとなしく捕らえられて、処刑される?
図書室に入ると、猛然と歴史や詩の本を探し始める。
ジョルジュも一緒に探そうと書棚を眺めた。
さすが辺境伯爵家の蔵書だ。
有名な歴史書などは揃っている。
ただ、今回の話は正史には残されていない。
歴史は歴史でも………。
その時、奥の方に古書が飾られているのに気がついた。
「あの本は?」
ジョルジュがミレーヌに声を掛ける。
「あ、そうか!
あれは古い本だから……」
ミレーヌがその本に近づいた。
「ひい婆様が集めていた昔の本です。
この地方の人が、まあ研究者が書いた手記みたいな……」
ミレーヌが他の古書も取り出して、題名を確認している。
「確か、吟遊詩人の……」
夢中で本のタイトルを確認しようとしているミレーヌの肩へ、ジョルジュが手を伸ばし掛けた時、図書室のドアが開き、カイエンが入ってきた。
ミレーㇴはカイエンの姿を見ると「カイエン!」と叫んで駆け寄る。
ジョルジュはカイエンに暗い嫌な感情を抱いた。
カイエンがいなかったら……。
ミレーヌは私を見ていてくれた、だろうか?
でも、カイエンの存在、力は重要で、今は……。
カイエンはミレーヌを見ると強張らせていた顔を微笑ませた。
「何か、オベリウスのことでヒントがあったとか?」
「ええ、ジョルジュ王子が詩で、オベリウスと聖女の話を読んだことがあるそう。
正史では消されたけれど、吟遊詩人や民間伝承の詩には、オベリウスの名が残っていたのかも。
だから、ここにも何か本が残されていないかと思って」
「そうか……。もっと早くわかっていれば、良かったな……。
ジョルジュ王子、コーラスとマリアもこちらに来てくれるそうです。
パーティの結成に向けて話をしなくては!」
カイエンの言葉にジョルジュは頷いた。
そうだ、今は魔王オベリウスを、私が、この国の王子である私が倒して……、王となることを考えよう。
ミレーヌやカイエンのことは、私が力を得さえすれば、何とか、どうともすることができる。
そうだ、まず、彼らを利用して、魔王オベリウスを倒す。
それが、今、一番、しなければならないことだ……。
読んで下さり、ありがとうございます。




