123 仮説
どうぞよろしくお願いします。
「どうして、私が!?」
ジョルジュが叫び、アルベルトは冷静に答える。
「オベリウスの恨みというか……。
それは今の王家の存在に向けられている。
たぶん、王家の血を引く者が倒すか、彼の恨みを聞いてやるか、すると何か変わるんじゃないかと」
「たぶん? じゃないかと!?
そんなあやふやなことに私が!?
なら、兄様かエドが行けばいいじゃないか!?」
アルベルトがニヤッと笑う。
「もし、うまくいって、オベリウスを倒すことができたら。
まあミレーヌやカイエンがいれば、前のように見た目だけでも倒すことはできるだろうね。
そこに、王家の王子の誰かが一緒にいたら?」
ジョルジュが何かに気がついたように呟いた。
「……王に相応しいと、認められる?」
「そういうことだ。
これはチャンスでもあると思うがね」
アルベルトは微笑み、カイエンが数歩前に出て、慌てたように言う。
「でも! 王子の身に何かあったら!」
「カイエン、私は知っているよ」
アルベルトの優しそうな声にカイエンの表情が引き攣った。
「様々な過去の資料……、残された手記、各地方の歴史書、辺境の教会の神官の覚書、そして各地のギルドの覚書や報告書……。
たくさんの資料から紡ぎ出され、浮かび上がる真実かもしれない事象。
君は、バートから聞いたのかな?」
ジョルジュが怪訝そうな表情をして聞く。
「兄様? 何を?」
「いや、カイエンと私の話だ」
「……わかりました。
魔王討伐、お引き受けします」
カイエンが暗い声で言う。
ミレーヌも「私も行きます!」と叫んでカイエンに寄り添った。
カイエンはミレーヌを申し訳なさそうな表情で見る。
「……ありがとう、ミレーヌ」
「うん、任命されなくても、魔王討伐には参加してただろうしね。
レーニアのギルドには腕に覚えのある冒険者達が集まってきているはず」
アルベルトはジョルジュ、カイエン、ミレーヌを連れて、ゴードンの執務室へ行った。
そして、ゴードンとジョナサンとケリーに本当の身分を明かした。
「アルベルト第1王子が、従者のアルバート、だったと!?」
ゴードンは驚きつつ、金髪のアルベルトを見て呻いた。
「確かに……、以前、お会いしたことがある……」
「騙すようなことになりすまない。
王命だったものでね。
ただ、今回のことで……。
私は魔王についてずっと調べていたんだ。
オベリウスは初代王の弟。
正史から消された、王家のひとりと言ってもいいだろう。
そして処刑されてから、ずっと魔王は現れては退治され、再び現れる……。
魔王が生まれて育つのではなく、人間が身体を奪われ、乗っ取られるか、憑りつかれるかして、魔王オベリウスを名乗るのではと仮説を立てた」
「人間?」
ジョナサンが聞き返す。
「そうだ。ジョルジュもカイエンも、王室書庫の手記を見て、それは気がついているよな?」
アルベルトの問いにふたりは頷く。
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