122 アルバートの正体
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アルバートは軽くため息をつくと、まっすぐ顔を上げた。
「カイエンも時々、王室書庫にきて調べていたね。確かにジョルジュもさ。
それもあり、私はジョルジュが次の王に相応しいのでは、とも思ったんだけど、なかなか……」
「アルバート?」
ジョルジュが怪訝な顔をする。
従者であるアルバートが、自分を呼び捨てにすることなど……。
「緊急事態だな。
……私の名前はアルベルト。現在は教会で第一神官をしている」
ジョルジュが驚きの声を上げる。
「えっ!?
……アルベルト……兄様!?」
ジョルジュの声にアルバートは微笑むと、自分の手から指輪を引き抜いた。
黒髪が金髪に変わっていく。その髪をかき上げて顔をはっきりと見せた。
ジョルジュが驚愕したように椅子から立ち上がり、カイエンとミレーヌも驚く。
「いや……、驚かせてすまない。
エドとジョーどっちが、王として相応しいか、お前が決めろって父に言われてね。
まあ、エドとジョーなら……、ジョーの方がまだいいかなと。
エドは未知数過ぎてね。
それにエドは従者なんて撒いちゃうから、なかなか難しくてね。
で、ジョーのそばにいたんだよ。
いや、辺境伯爵家に来てからはひどかったね」
ジョルジュがカッとなって叫んだ。
「だったら! その時に言ってくれよ!」
「私の言葉なんて聞かなかったろうが。
ラルフとウィリアム。
このふたり、なかなか頑張っていたんだがな。ジョー、お前もだ。
ラルフが途中から……、まあ、それに気づかず、引きずられたお前も悪い」
「ラルフが?」
アルベルトは苦笑した。
「気がつかなかったか?
何か……、ジョナサンやウィリアムに嫉妬しているように見えた。
それで、ジョーの不満やイライラを焚きつけて、彼らに嫌がらせをしているような……。
ウィリアムは懸命にジョーの方に考えを改めて欲しいと働きかけていたがな。
それを聞かなかったのは、ジョー、君だ。
そしてラルフは自分がしでかしたことを、隠すために、またしでかして、ウィリアムを……。
ラルフが離れたのはいいことだと思うよ」
「アルベルト第1王子?」
カイエンが信じられないように言う。
「ああ。私の前の、肩書というか……。
病弱なアルベルトとして有名だったね」
ミレーヌが不思議そうに言った。
「全然、そうは見えないけれど」
「ふふふ、王になりたいという気持ちが全くなかったのでね。
それより、書庫や役所で本や書類を読んでいる時が一番好きだったから、いつの間にか病弱設定になっててさ」
「設定……って」
ミレーヌが苦笑する。
アルベルトがにっと笑って言った。
「そのほうが周囲は楽だったんだよ。
カイエン、ミレーㇴ。
君達を魔王討伐パーティの魔法使いと聖女に任命したい。
そして……」
ジョルジュの方へ振り向くアルベルト。
「ジョー、お前は勇者だ」
「「「えっ!?」」」
カイエン、ミレーヌ、ジョルジュの声が重なった。
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