121 隠された王子
どうぞよろしくお願いします。
あのエドワードには負けたくない。
責任などないような顔で、王子としての権利だけは好きなように行使し、好き勝手しているようなあのエドワードには……。
一番上の兄が退いた今となっては、自分の方が王に相応しいと、思っている。
自分は強くあらねばならないと常に気を張って来た。
他人の弱さや劣っているところが気になり、許せなくなって追及してしまうこともある。しかし、今ではそういう気持ちで他人を責めることは少なくなってきている、はずだった。
自分よりも強い……、ミレーヌに、カイエンに、ジョナサンに。もしかしたらコーラスも。
ラルフは護衛だから、自分の力の一部である。ウィルもだ。同じように考えれば、安心できた。
自分は王に相応しい、王子のひとりなのだと。
ジョルジュはそう思うことで自分の心を奮い立たせた。
アルバートがミレーヌとカイエンを連れて戻ってきた。
ジョルジュはソファに座るようにふたりを促した。
ふたりは座り、ミレーヌが報告する。
「モルドバの街の魔王城の遺跡が復活し、城が建ち上がってきています。
街は魔物の群れに襲われて。
住民はできる限り助け出し、ここレーニアと、隣のローレウスに避難しています。希望する者にはここからさらに王都の方へも逃げていけるよう、ギルドには通達を出しています。
ギルドに伝令を頼みましたので、うまくいけば、後2日ほどで王都に連絡がつくと思います。
まだ正式に魔王からの要求などは出ていませんが、投影魔法で、その姿をモルドバで見ました。
王家に対する不満を口にして……」
ジョルジュが聞き返す。
「王家に対する不満?」
「はい、何か魔王オベリウスについて知っていることはありませんか?
王家の方だからこそ、知っていることがあるのではと」
ミレーヌの真剣な問いかけに、ジョルジュの頭に王室書庫で呼んだ本や書類の内容がいくつか浮かんだ。それで魔王は心が弱った魔法使いの身体を乗っ取り復活するということを導き出すことができたのだ。
「……魔王オベリウスは倒されても、何十年、何百年後に、また復活する。
それは魔法使いに魔王の意志というか魂というか、そういうものが乗り移って、魔王となるようだ。
魔王が倒される直前にその意識体? 意思体?
身体を持たないものが乗り移った者の身体を捨てて逃れれば……」
カイエンが驚く。
「そこまで良く調べられましたね!」
「王室書庫にはかつて魔王に乗っ取られて、解放されたことのある者の手記がいくつかあって……。
オベリウス……、いつもこの名を名乗るのだ。
どこかで、魔王としてでなく……、この名を見た気がするのだが……」
「……オベリウス。
初代建国王のジョン王の弟君です。
とても強い魔法使いで、ジョン王の建国を助けていました。
が……。建国直後、仲違いとなり、処刑されています。
そして、正史から、名前も存在も消された」
アルバートだった。
アルバートが淡々と説明してくれる。
読んで下さり、ありがとうございます。




