120 三番目の王子
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ミレーヌ達が避難してきたモルドバの住民、役人、警護団と共にレーニアに戻ってきたのが出立の2日後だった。
ジョナサンとケリーの手腕によって、住民たちはレーニアの空き家や宿屋に入ることができ、城のテントで過した者達も、隣のローレウス領にも避難することができると聞いて、それぞれ、次の避難先を考え始め動いていた。
そして、レーニアの街からも住民が少しずつ王都へ向かう街の方へ、ローレウス領の方へと避難を始めていた。
特に小さな子どもを連れた家族や若い夫婦など身軽な者達から移動を始めていた。
レーニアが魔王城に対しての前線になることは明白であるからだ。
ギルドへの連絡はできているので、逃げてきた者として冷遇されたりすることはないと思うが……。
家や土地を持っている者は、なかなか逃げ出す、一時的としても……、なかなか決心がつかないようだ。
いつもより人が多く騒がしい城の中、ジョルジュは部屋に籠っていた。
「なんだ、一体何が起こっている?
何故、私に報告がない!?」
ジョルジュは放って置かれて、拗ねているようだ。
ジョルジュに命じられお茶の仕度を取りに行ったアルバートは戻って来てため息をついた。
「自分からおたずねしてみたらどうですか?
ジョナサン様でも。
レイオス辺境伯爵もお帰りになったようですし」
「そうか! それならミレーヌも戻ってきたな!
ミレーヌを呼べ!」
「ミレーヌ嬢です、ジョルジュ王子」
アルバートはジョルジュの発言を訂正すると、部屋を出て行った。
「……なんだ。ラルフやウィルは、私が欲しいと思う情報を、言う前に集めて来て、伝えてくれたぞ!!」
ジョルジュはアルバートの働きを非難するように呟いた。
ウィルのことを思い出す。
ウィルには……、悪いことをしたと思っている。
確かにすべての責任をウィルに被せたのは……。
しかし、王子としての自分の立場を守るためには、仕方がなかったのだ。
それは側近として、わかってくれても良さそうなものではないか。
ラルフだって、そう言っていた。
そうだ……。
ひとりになると途端に自分が幼く無力に思えてジョルジュは身震いした。
身体は弱いが頭が良いと評判だった兄……。幼い時に二度ほどしか会ったことがない。
やさしそうだったというぼんやりした記憶がある。
そして、マイペースでつかみどころがなく、才能豊かな兄エドワード。
ぼーとしているようで、見るべきところは見て、つかむところはつかんでいる。
そして、三番目の王子であるジョルジュ。
上の二人ほど抜きん出た才能というものはないが、もともとの能力も周囲よりは高く、それなりに努力をするのでバランス型などと言われている。
王子としての誇り、プライドも高く、それなりに野心も意欲も、また冷静に状況を見極める力もあると。
一番上の兄王子が王位継承権を辞退し、教会に入ることになってから、ジョルジュへの注目と期待も大きくなっているのだ。
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