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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第4章 これからと『過去』
119/200

119 魔王再び

どうぞよろしくお願いします。

 モルドバの街の門まで来ると、逃げてこようとする住民と「早く門の外へ!」と叫ぶ警護団の剣士や街の役人達の姿が見えた。

 住民を追おうとする魔物、グレイウルフとレッドバブーンの群れが、剣士達が対峙している。

 魔物の方が優勢で、まだ建物から出られない住人がいる様子。


 カイエンとミレーヌは門に走り込んで馬を降り、剣士達に加勢する。


「応援が来た! ジョナ……、いや、辺境伯爵様だ!!」

 

 力が湧いてくるような希望を含んだ声が響き渡り、疲れを滲ませていた剣士達の表情が明るくなる。


「みんな、ありがとう!

 良く持ち堪えてくれた!

 押し戻す!!」


 ミレーヌが稲妻の剣を発動させ、前にいた魔物が吹っ飛ぶと、跳ね飛んだ仲間を見て、逃れた魔物達は一時的に距離を取ってきた。

 剣士達が前に出ようとするが、カイエンが止める。


「今は住人の避難が先だ!

 前線を押し戻し、維持しよう!」


 その間に住人達は建物から走り出てきて、避難を進める。

 近づいて来ようとする魔物にはカイエンが容赦なくストーンバレットで撃ち抜き、戦意を喪失させている。じりじり、魔物の群れは下がり続け、とうとう魔王城の方向へ退き始めた。


 ゴードンも馬上から指示を出し、騎士団も警護団と一緒に住民の避難を進めていく。

 街の剣士や役人達が走り回り、逃げ遅れている、隠れている住人がいないか確認してくれている。

 その報告を待ちながら、ミレーヌ達は街の防衛ラインを守り続けた。


 ミレーヌは街の向こう、遠目に見える魔王城を眺めた。

 カイエンも見つめながら、ぐっと手を握りしめている。


「ミレーヌ! カイエン!

 撤収が完了した!

 このまま住人達を保護しながらレーニアに戻るぞ!」


 ゴードンの声が響いた。


「はい!」


 ミレーヌは返事をし、カイエンの腕をそっと引いた。


「カイエン、行こう」


「ああ……」


 その時、魔王城の上空に巨大な人影が浮かびあがった。

 投影魔法のようだ、実体はない。

 そのゆらゆらしていた人影ははっきりとした映像になった。

 黒ずくめの服に顔を覆うようなフードを下ろし、さらに口元を黒い布のようなもので覆っている。

 男性のようだ。


『私は……、魔王オベリウス。

 再び、復活した。

 前に私が眠りについてからも……、王家がいまだに続いているとはな……。

 今度こそ、復讐を……』


 ウィリアムとは思えない低い声だ。


「オベリウス……。

 前の魔王と同じ名……。

 やっぱり、同じ魂というか、ずっと倒すことができていないってこと!?

 いったい、いつから、魔王をやっているの!?」


 ミレーヌは呟いた。

 カイエンはその言葉にはっとした。


読んで下さり、ありがとうございます。

お休みありがとうございました!

おかげで『前世と今世と罪と罰』の方は第3章の終わりまで投稿することができ、今度はそちらを少しお休みにして、その間にこっちを書きます。

私には連載同時進行はまだ厳しいということがよくわかりました。

こちらはこの話で第4章がおしまいとなり。次話で第5章がスタートします。

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