119 魔王再び
どうぞよろしくお願いします。
モルドバの街の門まで来ると、逃げてこようとする住民と「早く門の外へ!」と叫ぶ警護団の剣士や街の役人達の姿が見えた。
住民を追おうとする魔物、グレイウルフとレッドバブーンの群れが、剣士達が対峙している。
魔物の方が優勢で、まだ建物から出られない住人がいる様子。
カイエンとミレーヌは門に走り込んで馬を降り、剣士達に加勢する。
「応援が来た! ジョナ……、いや、辺境伯爵様だ!!」
力が湧いてくるような希望を含んだ声が響き渡り、疲れを滲ませていた剣士達の表情が明るくなる。
「みんな、ありがとう!
良く持ち堪えてくれた!
押し戻す!!」
ミレーヌが稲妻の剣を発動させ、前にいた魔物が吹っ飛ぶと、跳ね飛んだ仲間を見て、逃れた魔物達は一時的に距離を取ってきた。
剣士達が前に出ようとするが、カイエンが止める。
「今は住人の避難が先だ!
前線を押し戻し、維持しよう!」
その間に住人達は建物から走り出てきて、避難を進める。
近づいて来ようとする魔物にはカイエンが容赦なくストーンバレットで撃ち抜き、戦意を喪失させている。じりじり、魔物の群れは下がり続け、とうとう魔王城の方向へ退き始めた。
ゴードンも馬上から指示を出し、騎士団も警護団と一緒に住民の避難を進めていく。
街の剣士や役人達が走り回り、逃げ遅れている、隠れている住人がいないか確認してくれている。
その報告を待ちながら、ミレーヌ達は街の防衛ラインを守り続けた。
ミレーヌは街の向こう、遠目に見える魔王城を眺めた。
カイエンも見つめながら、ぐっと手を握りしめている。
「ミレーヌ! カイエン!
撤収が完了した!
このまま住人達を保護しながらレーニアに戻るぞ!」
ゴードンの声が響いた。
「はい!」
ミレーヌは返事をし、カイエンの腕をそっと引いた。
「カイエン、行こう」
「ああ……」
その時、魔王城の上空に巨大な人影が浮かびあがった。
投影魔法のようだ、実体はない。
そのゆらゆらしていた人影ははっきりとした映像になった。
黒ずくめの服に顔を覆うようなフードを下ろし、さらに口元を黒い布のようなもので覆っている。
男性のようだ。
『私は……、魔王オベリウス。
再び、復活した。
前に私が眠りについてからも……、王家がいまだに続いているとはな……。
今度こそ、復讐を……』
ウィリアムとは思えない低い声だ。
「オベリウス……。
前の魔王と同じ名……。
やっぱり、同じ魂というか、ずっと倒すことができていないってこと!?
いったい、いつから、魔王をやっているの!?」
ミレーヌは呟いた。
カイエンはその言葉にはっとした。
読んで下さり、ありがとうございます。
お休みありがとうございました!
おかげで『前世と今世と罪と罰』の方は第3章の終わりまで投稿することができ、今度はそちらを少しお休みにして、その間にこっちを書きます。
私には連載同時進行はまだ厳しいということがよくわかりました。
こちらはこの話で第4章がおしまいとなり。次話で第5章がスタートします。




