117 魔王の復活!?
どうぞよろしくお願いします。
「とり……?」
ジョナサンが訝し気に聞く。
「いえ……、その、絶望に憑りつかれて……、全てをあきらめてしまったのかと……」
カイエンがなんとか言い訳をしている。
ミレーヌにもわかった。
もし、ウィリアムが魔王になってしまっていたら、それを知られたら……。
ウィリアムが助かったとしても、この国にいられなくなる。
助ける方法はカイエンが知っているのだ。
魔王=ウィリアムの身体、かもということは誰にも内緒にしなくてはいけない。
その時、執務室のドアが慌てたようにノックされ、こちらが返事をする前に開いた。
疲れ切り、あちこちに怪我をしている様子の伝令を城の騎士が支えている。
「どうしたの?」
ケリーが叫び、ミレーヌとマリアは弾かれたように伝令に駆け寄った。
ミレーヌが一番ひどそうな足の怪我を魔法治療し始め、マリアが手を握り疲労を軽減するような魔法を掛け始める。
「あ、ありがとうございます」
伝令は恐縮したように言った。
「いいから、早く伝令を」
ミレーヌが手を止めずに労わるように言うと、伝令は頷いて話し始めた。
「はいっ!
モルドバの街の魔王城の遺跡が……、立ち上がっていると報告があり、様子を見に行った街の警護団は……、魔物の攻撃を受け、犠牲を出し撤退しました。
魔王城が、復活しています!
街の住人を避難させています!」
ケリーとジョナサンがすぐに行動を起こした。ジョナサンが支えていた騎士と代わる。
手の空いた騎士に指示を出すケリー。
「街の警護団に連絡を!
避難してくるモルドバの住人を受け入れる態勢を!
宿や空き家や、一時的にしのげる広い場所の整備を!
騎士団は中庭にテントを張りなさい。
ギルドにも連絡を!」
ケリーの言葉に騎士が慌てて執務室を飛び出し、メイド長と執事が数人の使用人と入室してくる。
「城の入り口付近の部屋を使えるように致します」とメイド長。
「庭にテントも張りましょう」と執事が言った。
「ええ、お願い。
そして、そこからさらにローレウス領にも避難できるように、手配して頂戴」
伝令を執事や使用人達が休める部屋へ声を掛け、一緒に出て行った。
ジョナサンがゴードンとケリーを見て言う。
「私は騎士団を率いてモルドバに向かいます。
とりあえず逃げてくる住人を保護しなくては!」
「ええ、でもジョナサン。決して魔王城には近づかぬこと。
モルドバの街には入らず、逃げてきた者達を保護しなさい!」
「でも、それでは……」
「今はこれ以上戦力を失うことはなりません!
ジョルジュ王子の件で、騎士の数人を伝令に出してしまっています。
本当に魔王オベリウスが復活したというのなら、歴史に残されているように、この後に何か要求があるはずです。
それまでに王都に連絡もしなくてはっ!
ああ、こんなことになるなら、ラルフに無理やり王子をつけてやるのだったわ!」
ケリーは考え込みながら小さく叫んだ。
「俺もジョナサンと行きます!」
カイエンが叫び。ミレーヌが「私も!」と言う。
コーラスが「俺もだな」と笑うと、マリアも言った。
「私も連れて行ってください!
ヒーラーとしてなら働けます!」
「ジョナサン!
お前はこの城に残り、指揮を取れ。
モルドバには私が行こう」
ずっと黙っていて、存在感がなかったゴードンが静かな声で言った。
その声は場違いなように部屋に響いて……。
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父、頑張れ!




