116 何があったの?
どうぞよろしくお願いします。
「えっ?
一体どんな話になってるの?」
ミレーヌが目を丸くする。
「こちらで説明するわ! こちらへ!」
ケリーに促されて、執務室にコーラスと入ると、マリア、ジョナサン、ゴードンがいた。
「お姉様!!」
マリアがミレーヌに抱きついてきて、涙目になっている。
「ごめんなさい!
ウィリアム様を、異変にすぐに気づけなくて!」
「マリア……、ということは何かに気がついた?」
こくんと頷くマリア。
「ウィリアム様の姿が見えないと騒ぎになった時に、庭でこれを見つけたの」
マリアは大事そうに服の下からペンダントを取り出した。
「……ミュラー子爵家のペンダント!?」
カイエンが驚いて叫ぶ。
「ウィリアムがいなくなったことと、急に俺達の不敬罪が不問になったことと、関係が?」
ケリーは頷いて「順を追って話すわ」と説明を始める。
ミレーヌとカイエンが出て、ジョナサンとコーラスとシーラも出発した。
その後にジョルジュ王子とラルフがゴードンに面会を求めてきた。
自分達が間違っていた、カイエン、コーラス、ジョナサンへの処罰を撤回すると言ったそうだ。
そして、なぜこのような間違った判断をするに至ったかというと……。
ウィリアムのせいだと。
年少の、まだ大人として成長していない未熟で浅はかなウィリアムの思考によって、わざとカイエン達を貶めるように誘導された……、というのがラルフとジョルジュの説明だったそう。
「ウィリアムが!?
そんなわけない!!」
カイエンが怒りを滲ませる。
ミレーヌがカイエンの背に手を当て、心配そうだ。
「……それで、コーラスとジョナサンを呼び戻す伝令を。
シーラはジョナサンの判断でローレウス領にそのまま。
ミレーヌとカイエンにはマークをやったというわけ。
で、その伝令を出しているあたりでウィリアムの姿が見えなくなったらしくて。
でも、ジョルジュ王子達はまあ叱られて部屋に籠ってでもいるのだろうと思ってたようね。部屋にもいないと騒ぎになって、マリアがペンダントを見つけた。
このことはジョルジュ王子達には伝えていないわ」
ケリーがここまで言うと、マリアを見た。
「庭の木にぶら下がっていたの。
私の探し物の勘というか魔力に反応したのよ。
悪い気配はしなかったから手に取った時、ペンダントをここに架けていくウィリアム様の姿が見えて……。誰も触れないようにすぐ隠しました。
カイエンやお姉様には見えるのでは」
カイエンの手にペンダントが渡される。
カイエンがミレーヌの手を取り、ペンダントの上に乗せた。
ふたりでペンダントを手で挟んだ形だ。
「見える……、ウィリアム……、なんて辛そうな……」
ミレーヌが痛ましげに呟き、カイエンは悔しそうに顔を歪めた。
「ウィルが絶望している……。
もしかしてこれがきっかけで、憑りつか……」
「とり……? あ」
ミレーヌはもう片方の手で自分の口を押さえた。
そうだ、バートの兄も王子の側近で、心を痛め、疲弊し……。
ウィリアムも苦労していたようだった。
そして、このすべての責任を、罪を、全部擦り付けられたのだ。
14歳の少年にしてみれば、どうしていいのか……。
この辺境の地で、誰にも相談できず……。
弱っていた心に止めを刺すような出来事だったのかもしれない。
読んで下さり、ありがとうございます。




