111 お互いの秘密
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌは長い手紙を読み終わって……、一瞬、頭が混乱し、呟いた。
「えっ? バートの記憶喪失は嘘?
うえ?
じゃあ、元凶はアルレディオ王子?」
カイエンから聞いた『俺は魔王にはならないよ。だから、王子の側近にはならないようにしたし』という言葉の意味もわかった。
「は、王子の側近にならなきゃ大丈夫ってこともないだろし。
でも、それなら、もっと頻繁に魔王が復活してもおかしくないか。
王家絡みで、ということが発動条件?」
アレックスひいお爺様のことを思い出す。
とても強く優しい人だったけれど、人と一線引いている感じがすごくする人だった。アレックスも内乱で両親を亡くしていたのか……。
それでも、マールひいお婆様といる時には、甘えというか、少し抜けている姿を見せて笑っていることがあり、とても印象に残っている。
「確かに、私もそうかもしれない……。
カイエンと出会って、変わったもの……。
ふふ、マール似じゃなくて、アレックス似の私でも、いいのかしら?」
過去のことを知れたのはありがたい。でも、カイエンに聞かれたら、知ったことを言う?
言わない方がいいかな……。
じゃあ、ひいお婆様の手紙は……、うん、バートがパーティに加入して一緒に旅をして思い合ったこととバートが帰って来ず、アルレディオ王子と結婚するのを阻止するためにひいお爺様と結婚したこと、カイエンとの結婚を祝福してくれていること、くらいにしておこう。
ミレーヌは収納魔法に手紙をしまって、ため息をついた。
すごくカイエンに会いたい。
ミレーヌは立ち上がりドアの方へ行こうとしたら、ノックされて「ミレーヌ?」と声がした。
ミレーヌはにっこり微笑んでドアを開けた。
「もしかして……、そこで待ってた?」
カイエンは苦笑しながら「……バレちゃったか。うん、少し前に戻ってきたんだけど、まだ手紙を読んでいたらと思って、躊躇してた」と言う。
「うん、ありがとう。じっくり読めた。どうぞ」
カイエンを招き入れ、ドアを閉めた。
「あ、どっちのベッドをミレーヌは使う?」
なんだか目を合わせないように気を遣うようなカイエンが……、愛おしい。
「どっちでもいいけど。一緒でもいいよ」
ミレーヌの言葉にギクッとするカイエン。
ミレーヌはふふふっと笑ってしまった。
朝、ミレーヌはベッドの中で自分のものではない温かさを感じて目覚める。
「カイエン、おはよう」
カイエンはすでに起きてミレーヌを起こさないように布団をかけ直そうとしていて、ギクッとした。
ギクッとしてばっかりじゃない?
ミレーヌは思い、また笑う。
昨夜は結局、話をしながら寝ようということになり、ベッドが別だと話しにくくて、ミレーヌがカイエンのベッドに移動してきて、話をしながら寝てしまったのだ。
マールからの手紙にはアレックスとの出会いとバートとの出会い。
そして、アルレディオ王子との結婚話から、アレックスとの結婚。
バートを結果的に裏切ることになってしまったことは自分が悪い、けれども、マールもバートもアレックスも自分のしてきたことに後悔はないだろうということ。
自分達の思いを背負わせてしまったんじゃないかと心配していたこと、この手紙を読んでいるということは植物園での幼い日の約束を実らせたのだろうと、それがうれしい、幸せを祈ると書かれていたと話した。
カイエンはほっとしながら「そうかあ」と言ってから、寝てしまった。
ミレーヌは優しくその寝顔を見つめながら、結婚したら、カイエンが聞いた秘密の話とマールの手紙と合わせて、カイエンと話し直そうと心の中で決めた。
読んで下さり、ありがとうございます。
家族がいると、家事の合間にパソコンをということができず、まあ、家事を済ませてと思うとすぐご飯の準備とか……。やっと手が空いたのが今……。




