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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第4章 これからと『過去』
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108 マールからの手紙(前)

どうぞよろしくお願いします。

マールが残した手紙です。

 ミレーヌ、この手紙を読んでいるあなたは何歳かしら?

 今、読んでくれているということは、あの植物園でのかわいい約束が実を結んだということね。それなら、とてもうれしいわ。


 私はバートを待つと約束しておきながら、待つことができなかった。

 魔王を倒して、バートが帰ってくるのを待ってはいたのよ。

 でも、王命でアルレディオ王子と結婚させられそうになり、アレックスが差し出してくれた手を取り、結婚し、夫婦となり子を成した。

 どう言い訳してもバートを裏切ったの。

 アレックスはバートのことをわかってくれていたから、偽造結婚ということにもできたのに。

 でも、私が選んだ。アレックスと本当の夫婦になることを。


 あの植物園で、バートは私に隠していたことをすべて打ち明けてくれた。

 ミュラー子爵家、レンダート伯爵家に関わることだから、あなたがカイエンと結婚すると決まらなければ、教えられなかったの。


 長くなるけど、私の子どもの頃のことから書いてみるわね。

 ここらへんはあなたにも話したことがあるから簡単に。


 私は平民の子として生まれた。両親は農家を生業としていた。10歳の頃、領地の貴族と王家との内乱があり、両親と離れ離れになった。

 内乱は王家がすぐ治めたのだけれど、両親とはそれきり会えていないわ。

 教会に孤児として保護され、一年ほどして治療魔法が使えることがわかり、ヒーラーとして修行するため王都の教会へ送られることになったの。

 その、最初に保護された教会で一緒だったのがアレックスなの。

 私より3歳年上で子ども達のリーダー的なお兄さんだった。

 私が王都の教会へ行くことを聞いて心配してくれた。

 その時にはもう冒険者として活躍し始めていた頃で、王都にも会いに来てくれると約束してくれた。

 憧れの、兄のような、幼馴染のような。

 アレックスは私にとってそういう人でもあったの。


 ヒーラーとして順調に力をつけていった私は、自分の修行のひとつとして、冒険者ギルドに登録して魔物退治を始めた。

 王都のギルドで一目置かれる冒険者となっていたアレックスと、教会の護衛騎士をしていたアルファードとパーティを組んでね。


 その時、王国には王子がふたりいたの。

 レオンハルト第1王子

 アルレディオ第2王子


 レオンハルト王子はその後レオンハルト3世王となられたから、知っているわよね。

 アルレディオ王子の話もちょっとは聞いたことがあるわよね。

 そう、私が結婚させられそうになった……王子。


 バートはレオンハルト王子に仕えていて、アルレディオ王子にはバートの兄が仕えていた。

 兄弟で年の頃が逆じゃないかと思うでしょう。

 

 アルレディオ王子にはいい話がなく、また、荒れた気性の方で、年下では仕えるというか、御するのが難しいと考えられたのよね。

 バートの兄は魔法使いとしての能力も高く、それにミュラー子爵家の後継でもあり、穏やかな人格者だったそう。うまくアルレディオ王子を指導できるのではと期待されたわけ。

 

 そして、魔王オベリウスの復活が起きた。

 魔王オベリウスは忘れ去られそうになると、どこからともなく復活し現れる……。

 その時代の勇者や騎士や魔法使いによって倒されたはずなのに。


 その時もいくつかの力のあるパーティーが辺境に現れた魔王城へ魔王討伐に出発し、その中に私達もいた。

 レオンハルト第1王子によって、アルファードは『聖騎士』に任命されたわ。

 私は『聖女』。その時、教会で一番治癒の力が強かったからね。

 アレックスは冒険者だったから……、レオンハルト王子はちょっとおちゃめなところのある人でね『勇者』と任命したのよ。

 そして、お目付け役というか、バートがパーティーに入ったの。レオンハルト王子の『魔法使い』。


 次々撤退していくパーティーの中で、私達は魔王城の魔王の前まで辿り着いたわ。


 全力で戦って、魔王を倒した時、バートが言った。


「この城は魔王の死とともに崩れる。

 でも、最後までそれを見届け、確認する必要がある。

 魔法で身を守れる私がここに残るから、君達は城の外から見届けて欲しい」


 そして、私を見たわ。


「マール、愛している。

 私が無事に戻れたら、結婚して欲しい」


 というようなことをね。


読んで下さり、ありがとうございます。

どういう風に過去を伝えるか、すごく悩みました。

過去章とかにしちゃうとミレーヌはそれをどう知るんだよ? 知らんでいいのか? と思い。

結末をいろいろ考えた時にミレーヌだけ知っているということにした方がいいのかなということになり、手紙ということにしました。

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