105 苛立ちの連鎖
どうぞよろしくお願いします。
馬で先を急ぐカイエンとミレーヌ。
名目はジョルジュ第3王子に不敬を働いたということで王都の屋敷で謹慎しに行く……ということなのだが、ふたりにはそのような悲壮感は全くない。
「宿……、ギルドのある街なら、いいところを紹介してもらえるかな?
この格好だし冒険者として泊るでしょう?」
ミレーヌの言葉にカイエンが笑う。
「ふふっ」
「何?」
「……ジョルジュ王子には感謝しなくては、だな。
こんな風にミレーヌとの結婚が早まるなんて……」
「いや、ジョルジュ王子は関係ないよ。
そもそも、少し早めようって話をしてたところだし。
ウィリアム……、大丈夫かな?
ジョルジュ王子、なんかまた言い出しているんじゃないか……」
ミレーヌがカイエンの背中に向かって呟く。
「確かに……、今までは護衛騎士のラルフが、どちらかというと、ウィリアムと同じ立ち位置だったのが……、違う?」
「ラルフ? 護衛騎士の?
ラルフはどこの家だっけ?」
「……確か、モンタギュー侯爵家の次男か三男だったと」
「モンタギュー侯爵家?
なんか聞いたことが……。
あ! 前からシーラに婚約を申し込んでたところだ!」
「え? それは長男の方だろ?
そうか、シーラは……。それなのにジョナサンを選んだ」
「まあ、その時はまだジョナサンとそういう話は出ていなかったけどね。
ラルフとしては、今回こちらに来ることで、モンタギュー侯爵家の身内としてシーラを説得するつもりもあったのかも。
でも、レーニアに来たとたん、ジョナサンとシーラの婚約という話になってたし……」
「ラルフとしてもレイオス辺境伯爵家に恨みとまではいかなくても、苛立つ気持ちはあったのかもな……」
「それで、私のことで、兄様達とジョルジュ王子が言い争いになったことを利用して……」
「言い争いだけじゃない。
ミレーヌの所へ急ごうとしてるのに、手をつかまれ、邪魔されたから、大きく手を払ってやった」
「あー、それは……。
申し訳ない……、私のせいか……」
ミレーヌはカイエンの首の後ろにおでこをくっつけて俯く。
「ミレーヌのせいじゃない。
あの時は邪魔したジョルジュ王子の方がおかしいとみんな感じていたんだから、ラルフも王子を止めてくれたぐらいだ。
……ミレーヌ、少し飛ばすよ。しっかりつかまってて」
「うん」
ミレーヌはぎゅっとカイエンにつかまり、というかしがみつき直した。
ラルフはジョナサンに家のことを邪魔されたと思い。
ジョルジュ王子はミレーヌと親しくなりたいのにカイエンが邪魔で……。
ウィリアムも、久しぶりに会う兄に最初はよそよそしかった。もう子爵家を継いで、伯爵家を出たからという事情もあったかもしれないけれど……。
でも、ウィリアムは……、ジョルジュ王子のことを真剣に支えようとしていたし、カイエンとの兄弟の関係も改善できたようだったし……。
そんなことをミレーヌはカイエンの温もりを感じながらつらつらと考えていた。
今回のことは何か自分の願望や、思うようにうまくいかない苛立ちを他の人に向けてしまう連鎖のようなことから、起こってしまったことなのかもしれない……。
読んで下さり、ありがとうございます。
パソコンがまたおかしい……。なんで……。
そのため遅くなりました。すみません……。




