102 手紙
どうぞよろしくお願いします。
「カイエンとコーラスとジョナサンが!!
王都の屋敷で謹慎って……!?」
朝食前にその話を聞いたミレーヌは驚いて叫んだ。
執務室に集められているのはカイエン、コーラス、シーラ、マリア、ミレーヌ、ジョナサン。
ケリーとゴードンが何か決心したような表情で、昨夜のことを報告したのだ。
シーラが言った。
「コーラス、私、一緒に王都へ行くわ。
嫌がらせの謹慎がいつ解けるかわからない。
コーラスが屋敷から出られなくても、私は出られる。
連絡係になります」
「私も一緒に……、でも、私は……、カイエンと一緒にいたい」
ミレーヌが真剣な表情で父と母に言った。
「レンダート伯爵家でその、婚約者として受け入れてもらえるなら……。
私はカイエンのそばにいたい」
ゴードンがゆっくりと話し出す。
「ミレーヌ……。
昨夜のうちに、レンダート家、レイオス家、我が家の王都の屋敷に伝令を出発させている。
カイエンと一緒に王都へ行き、受け入れてもらえるようなら、そうすればいい。
もし、無理そうなら、我が家の王都の屋敷にいること。
それでいいね、カイエン」
「ミレーヌを連れていくこと、許して下さり、ありがとうございます」
ゴードンが顔をしかめる。
そして、余裕のない様子で話し出した。
「まだ、許したってわけじゃないからね!
婚約者としての節度は保ってもらわないとねっ!
で、で、宿の、事なんだがっ!」
急にゴードンが早口になったと思うともごもごする。
ケリーが「あなた、落ち着いて下さい」と話を止めた。
マリアが声を上げた。
「ジョルジュ王子達はいつお帰りに?」
ケリーが首を傾げる。
「そうなのよね。それが、何も言われてないの。
ミレーヌとシーラが王都に向かうという話になったら、一緒にとか言い出すのかしら?
ふふふ、そうはさせないんだから。
その前に出発しちゃいましょ」
ジョナサンはコーラスとシーラと共に一度ローレウス領へ寄ってから王都を目指すことに。
カイエンとミレーヌはまずレンダート領を目指し、そこから王都に向かうことに。
「ふたりなら、馬で行けば早いわ」
ケリーが次々に指示を出し、その合間に朝食を手早く食べてから、各自仕度のために部屋に戻った。
マリアはハチを大事に預かると約束してくれ、抱いて自分の部屋に連れて行ってくれた。
カイエンとミレーヌには収納魔法があるので仕度はすぐ終わり、馬に乗るということで冒険者の時の服にすることにした。
仕度ができたミレーヌとカイエンから出発だ。
「マリア、ハチのこと、よろしく頼むね。
私が面倒みるって言ったのに……、ごめん」
「ううん、私、もっとハチのお世話したかったし、全然大変じゃないもの。
お姉様、カイエン、気をつけて!」
マリアが笑顔で見送ってくれる。
ゴードンとケリーが封筒をミレーヌに差し出した。
宛名はミレーヌ。
「これは?」
受け取ってひっくり返すとマールの名があった。
「あなたへとお預かりしていた手紙よ。
カイエンと本当に婚約して結婚する時に渡して欲しいと言われていたの。
お婆様はあなたが望まないならと、心配されていたのよ。
でも、やっぱり、こういう運命だったのね。
ふたりは結婚を決めているのでしょう。なら、もう、渡しておく」
ケリーがカイエンにも言う。
「ミレーヌをよろしくね。
ジョナサンに結婚の書類は預けておきます。
急ぐなら王都で、その書類を使って正式に届出を出しなさい」
ケリーの後ろでゴードンが複雑そうな顔をしている。
読んで下さり、ありがとうございます。
パパは複雑。
結婚なんて! という感じだった愛娘が、こんな急に……。




