101 不敬罪?
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌは部屋に戻り、ジェーンに勧められて軽くお湯で身体を流して、髪を洗った。
着替え終わって、髪を拭いているとドアがノックされ、カイエンが入ってきた。
「髪、乾かそうか?」
「そんなことできるの!?」
カイエンはソファに座るミレーヌの後ろに来ると優しく温かい風を魔法で作り出してミレーヌの薄茶色の髪を乾かしていく。髪が風に揺れ、艶めく。
「すごい!
これができたら便利ですね!」
ジェーンが目を丸くしている。
「火と風の魔法が使えればだけど、細かい調節が必要かな?」
「ああ、やっぱり難しいんですね……」とがっかりするジェーン。
「今度、カイエンに風魔法教えてもらう時、ジェーンも一緒にやってみようよ!
ジェーン、火はできるもんね!」
ジェーンはうれしそうに微笑んでから「洗濯場に出してきます」と礼をして、ミレーヌの服を籠に入れて部屋を出て行った。
ハチは庭にでもいるのか、部屋には戻っていない。
髪は乾かし終わり、カイエンがミレーヌの隣に座ると髪を撫でる。
「カイエン……、今日は本当にごめんなさい。
みんな、無事で良かったと言ってくれるけれど。
私……、自分の失敗を忘れないようにする」
「うん……、俺もミレーヌは強いからと、後、状況を楽観的に思っていたこともあって、それに気がついて……、反省した。
すぐに追いかけなかったのは……、コーラスやジョナサン達の方のことを考えちゃって……。
ああ、ミレーヌのことはとても大切で、家族のように……」
カイエンがとても苦しそうな顔をしたので、ミレーヌは驚いて、カイエンの頬に手を当てた。
「いいの!
もし、私が強くて、家族だからという理由で、他の人を守ろうと考えたというなら、それはそれでうれしい。
私もカイエンの信用に応えられるように頑張る!
今回は……、私が勝手な行動を取ったのが一番の原因。
気にしないで欲しい」
「ありがとう。大切にしたいのに……」
「私はとても大切にしてもらっている。
すごく幸せだもの」
「ミレーヌ……」
カイエンとミレーヌはお互い顔を寄せ合うようにキスをした。
自然に……、それからゆっくりと離れて、顔を見合わせ、ふたりで照れたように笑った。
その日の夜。夕食にジョルジュ王子達は出てこなかった。
ウィリアムもジョルジュに何か言われたのか出て来ず、彼らだけ自室でとなった。
夕食時にゴードンとケリーはジョナサンや他の者達からも今日のことを聞いて、特に問題はないと判断していたが……。
夜、ゴードンとジョナサンに面会を求めてきたジョルジュ王子と護衛騎士ラルフの言葉に驚いてしまった。
カイエン・バート・レンダート伯爵令息
ジョナサン・レイオス辺境伯爵令息
コーラス・ローレウス伯爵令息
この三人がジョルジュ王子に対して不敬な態度を取ったことに対して、王都で王家からの調査を受けるべきだと。
ジョナサンはあの時のことは不敬などではなく、ミレーヌの保護を優先しての話や行動だったこと、不快な思いをさせていたなら申し訳なかったと謝罪したが……。
あくまで、王都の王家で話をしたいと言い返され、それぞれ、これより王都に移動し、王家から呼び出しがあるまで謹慎するように言い渡された。
ジョルジュ王子が王都に帰らなければ、呼び出しはないわけで、今のところ期限がない謹慎だ。
ジョルジュ王子達が自室へ引き揚げた後、ジョナサンは言った。
「……嫌がらせということが明白です。
でも、従わなくてはならないのでしょう……」
ケリーが悔しそうに頷く。
「ええ、とりあえずは従いましょう。
それに、嫌がらせなら、こちらが困って泣きつくことを想定しているのかも。
ゴードン、各家に急ぎ連絡を!
特にレンダート伯爵家は王都に近く、王家とも関りが深いから、状況をお伝えして動いてもらいましょう!
エドワード第2王子とマリオン侯爵にも連絡を取って頂きましょう!
ジョナサン! カイエンとコーラスを呼んで頂戴!
ミレーヌとシーラには……、明日の朝、伝えましょう」
「母上、ミレーヌは……」
「ええ、ミレーヌなら一緒に行くと言いそうね。
原因になったのもミレーヌですし……。
でも、それは自由にさせてやりたいわ。どう、ゴードン?
少し早いけれど、例の物を渡したらどうかしら。
もうあのふたりは、結婚を決めたようですし」
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