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どこかで途切れた物語・あらすじ1

どこかで途切れた物語・あらすじ(1)

                                

 12月16日の深夜。大学1年の乾瑠璃(いぬいるり)は、春日大社のおん祭にボランティアスタッフとして参加していた。暁祭(あかつきさい)が終わってボランティアスタッフが解散した午前3時頃、おん祭中に春日原生林内で朝を迎えるとどうなるか確かめたかった瑠璃は、許可を取ってテントで仮眠を取る。

 夜明け前、鈴の音が聞こえた瑠璃が外に出ると、すぐ側の林内に隠れて泣いているハル・チーエという小柄な男の子を見つける。彼の外出中に、暮らしていた孤児院が蛮族に襲われ皆殺しにされたのだという。その場所はかなり近く、安全の為に瑠璃達は隠れたが、蛮族に見つかることはなかった。静寂が訪れてからしばらくして、瑠璃達は蛮族の足跡がない道を歩くことにする。そのとき、原生林にある首切り地蔵や休憩所が4倍ほどの大きさになっていることに気付き、瑠璃は自分が異世界転移していることを理解する。

 とりあえず、しばらく身を隠せそうな場所を考えた瑠璃は、林の奥にある古い鐘楼を目指すことにする。鐘楼の手前にある石段に到着した時、一匹の小さな白蛇が必死に登ろうとしているのを見つける。見えない壁にぶつかって進めない蛇の横を何事もなく通り過ぎる瑠璃。だが、ハルは白蛇と同じように見えない壁にぶつかり尻餅をつく。瑠璃が手を引っ張ると、ハルも見えない壁を越え階段を登れるようになる。その際、白蛇もくっついて壁を越えており、瑠璃達を通り越す。白蛇が鳥居をくぐろうとした瞬間、何か弾けるような音がして、瑠璃の側へと吹き飛ばされる。瑠璃が抱えようとすると、鳥居の向こうにある本堂(現実世界では消失)から、長い象の鼻のようなものが伸びてきて蛇を掴み、引きずり込む。

「何してるんじゃい、クソガキ‼」

 若い成人男性の怒鳴り声があたりに響く。瑠璃達が本堂を覗くと、黄金と極彩色で彩られた祭壇の前で怒鳴るシャルワーニー(インドの正装)の男性と、メソメソ泣く幼児だった。


 しばらく引き戸の側で様子を見ていると、男性は瑠璃の顔を見て一瞬困った顔をした後、ニッコリと笑い手招きした。瑠璃達が中に入ると、戸が勝手に閉まる。

 成人男性は歓喜天のガネーシャ、幼児は若宮神と言い、奈良を守る神仏であった。ガネーシャ様の説明では、瑠璃がこの世界に飛ばされたのは若宮様が自分の弟を助けられる人を願ったからだという。若宮様は瑠璃は弟を必ず助けると断言するが、全然特別な力を持っていない瑠璃は、困惑するハルと首を傾げる。サルタ様は、ここは聖域で資格のある者だけしか入れないので、安全になるまでしばらく休むと言いながら、二人に大根炊きを差し出した。


 次の日、サルタは瑠璃が元の世界に帰る為には生駒山にあるトンネルをくぐらないと教えてくれる。ただ、神仏であるサルタの力で連れて行くわけにはいかず、自力でたどり着かなければならないのだという。まずは春日大社にいるサルメという女性に会って事情を話せと言われる。ハルは瑠璃を案内しながら、孤児院の事を役所や関係者に報告することになる。2人と何故かくっついてきた若宮様は、蛮族がいない遠回りの道を使って春日大社へ向かう事になった。

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