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ヨーロッパで最初の国

挿絵(By みてみん)

旧知の面々との記念すべき再会から二日。エジェニーは心地よい忙しさの中にいた。ケンタのパスポートの手続きを迅速に済ませ、航空券を予約し、その他の詳細もすべて手配した。ケンタはまるで夢の中にいるようだった。つい最近まで陰鬱だった彼の人生は、今や未知へと猛スピードで向かっていた。何が起こっているのかを真に理解する間もなく、彼はすでにヨーロッパ行きの飛行機の中にいた。

最初の立ち寄り先はベラルーシだった。エジェニーは、パリに行く前に「用事を済ませる」必要があると説明した。ケンタは驚いたが、余計な質問はしなかった。彼はエジェニーが予期せぬことの具現化であることに慣れていたのだ。

飛行機はミンスク国立空港に着陸した。ターミナルを出るとすぐに、ケンタは違いを感じた。空気は違っていた。澄んでいて、新鮮で、ひんやりとしていて、土と何かとらえどころのない家庭的な匂いが微かにした。東京のいつもの喧騒や、慌ただしい生活のリズムはなかった。すべてがここではゆっくりと、穏やかに感じられた。

ミンスクは広い大通り、スターリン様式の建築、そして豊かな緑で彼らを迎えた。街は清潔で手入れが行き届いているように見えたが、その外観には何か特別な、静かな憂鬱さが感じられた。ケンタは好奇心旺盛に地元の人々を眺めた。彼らの顔は日本人よりもオープンで、緊張感が少ないように見えたが、その目には何か深く、古くからの知恵、そして悲しみさえもが読み取れた。髪は明るい色が多く、瞳は様々な青や灰色だった。

「ミンスクは豊かで困難な歴史を持つ街よ」と、エジェニーはタクシーの窓から外を眺めながら言った。「私の先祖の一方はここに住んでいたの」。彼女は謎めいた笑みを浮かべた。

彼らはかなり長い間、街の景色を通り過ぎ、徐々に田園地帯へと入っていった。道は黄金色の穂で覆われた広大な畑と、木々があまりにも古く、力強く息をのむような鬱蒼とした森の中を通っていた。空気中には松の葉、湿った土、そして野の花の匂いが漂っていた。ここの自然は野生的で手つかずで、まるで生きている絵画のようだった。都会のジャングルに慣れていたケンタは、ここで並外れて穏やかな気持ちになった。

ついに、タクシーは未舗装の道に曲がり、数分後、小さくて非常に居心地の良い木造の家に着いた。それは広い川岸に立ち、豊かな木々に囲まれ、まるで世界から隠されているかのようだった。煙突からは細い煙が立ち上り、窓からは暖かく家庭的な光が漏れていた。

家のドアが開くと、戸口に若い男性が現れた。彼は驚くほど優しく、柔らかな顔立ち、底なしに見える大きな青い瞳、そして顔を縁取る灰白色の髪を持っていた。彼の外見には、まるで古いおとぎ話のページから出てきたかのような、この世のものとは思えない何かがあった。

彼はエジェニーを見て、その目は輝いた。

「エジェニー!」と彼は叫んだ。その声は彼の顔立ちと同じくらい柔らかかった。

エジェニーはケンタがこれまで見た中で最も温かい笑顔で彼に微笑みかけ、彼に向かって一歩踏み出した。

「スヴャトスラフ!」と彼女は答え、その声には優しさと、忘れ去られた喜びが満ちていた。

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