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第45話


 洞窟で野営をした4人。しっかりと回復したのを確認しあうと40層の攻略を開始する。相変わらずの風景が続く。マグマの川をジャンプして飛び越えながら複数体で固まっているSSクラスの魔獣を倒していく。


 前の3人のみならずローリーも精霊魔法を撃って討伐時間の短縮に貢献していた。普通の魔法使いなら魔力切れを心配して自制するところだろうが地獄のダンジョンで出し惜しみをすると前に進めない。必ず安全地帯があると信じて強化魔法、回復魔法の合間に精霊魔法を撃ち続ける。


「2つ向こうの右側!」


 背後からローリーが短く叫んだ。それだけで言葉の意味を理解する3人。ギアを上げて2体、そして3体のリンクを倒すと右に移動してそこにいるSS以上SSS未満のランクの1体の首を刎ねると洞窟に飛び込んだ。すぐに全員で洞窟をチェックして安全を確認するとその場に座り込む。4人とも荒い息を吐いていた。


「必ず安全地帯があると信じて加減せずに魔法撃ったよ」


 収納から取り出した水や果実汁を洞窟内の地面の上に置きながらローリーが言った。置かれた飲みものの入っているボトルを掴んで口に運ぶ3人。ローリーも水の入っているボトルを手にする。ゴクゴクと音を立てて水を飲んでいたランディがボトルから口を離して言った。


「その思い切りも必要だよな。おかげで危ない場面もなく攻略できている。疲れてはいるけどそれは下層だから当然だろう」


「安全地帯の場所からの推定になるがここを出たら41層に降りる階段までいけるだろう。フロアの3/4はクリアしていると思う」


 ローリーの言葉を聞いた忍の2人の表情が緩んだ。

 ダンジョンの中はいつも一定の明るさがある。外は今昼なのか夜なのか分からない。休憩をとりつつしっかりと睡眠時間をとっているので時間の感覚がわからなくなってきている4人。40層攻略開始時よりもSSクラスの討伐時間が短くなっていた。


「慣れてきたというのがでかい。ダンジョンの唯一の救いはフロアの中で仕様が大きく変わることが無いということだ。だからそのフロアで何度か戦闘をすると慣れてくるんだ。ただこれはあくまで1つのフロアだけの話になるけどな。今まで攻略してきたフロアを見てもわかるだろうけどフロアが変わるとその階層の造りがガラッと変わる。また最初から慣れていかないといけない」


 ローリーが3人、特に忍の2人に言い聞かせる様に言う。聞いている2人もくどいとは全く思っていない。難易度の高いダンジョンを攻略している中ではくどいくらいがちょうどいいんだと思っている。そしてそう思える時点で忍びの2人もすでにランクA以上の実力になっていた。


 ローリーの読み通り、40層の残りはおおよそ4分の1だった。煮えたぎっているマグマの川を越え、敵を倒しながら進んでいった4人の目の前に41層に降りる階段が見えてきた。


 階段の前に立っていた2体のSS以上SSS未満の敵を倒して階段を降りていく4人。降りた先の景色を見ると足がその場で止まった。


「フロアが変わると造りが変わる。まさしくその通りだ」


 顔を階段の先、41層に向けたままカイが言った。


 彼らの目の前には天井、床、そして壁が全て石をはめて作られている石の洞窟というか通路が見えてる。洞窟は真っ直ぐに奥に伸びており見える限り分岐はない。組まれている石垣は大きさは正確には同じじゃなさそうだがどれも1つが20センチX40センチ前後のサイズになっている。これがレンガなら突起物や変化を見やすいが石のせいかもともと凸凹があるので見つけにくくなっている。


 そしてもう1つ、目に見える範囲に魔獣はいなかった。


「どういうことだ?通路が一本道は良いとして魔獣の姿が全く見えない」


 カイの隣に立って同じ様に前を見ているケン。言ったあとで背後にいる2つ上の階段で立ち止まっているランディとローリーを振り返った。


「罠のフロアだ」


「罠?」


 ローリーの言葉に3人が彼を見る。


「おそらく41層は目の前の通路のそこらじゅうに罠が仕掛けられている。魔獣や魔物がいない、しかも、見える限り一本道だ。となると考えられるのは罠が仕掛けられている」


「安易に踏み出すとまずいってことか」


 そう言ったカイ。


「洞窟というか通路というか、とにかくあの穴に入っていったところから罠があちこちにあると思った方が良い。もし通路の向こうから魔獣が出てきたら逆に安心できる」


 3人に説明している間もローリーはずっと前方を見続けていた。カイはローリーを見てそれから前方に顔を向けて聞いてきた。


「龍峰のダンジョンにもこんなフロアはあったのか?」


「無いな。無いが他のダンジョンでこれに似たフロアはあった。ただその時よりも罠は巧妙に仕掛けられていてそしてその威力も半端ないだろう。地獄のダンジョンの41層の罠が緩いはずがないからな」


 そう言ってから本当に厄介だなと呟くローリ。


「おそらくローリーの言う通りここは罠のフロアだろう。肉体的によりも精神的に痛めつけうようとしているな。クリアに相当時間がかかりそうだ」


 しばらく通路を見ていた4人。ローリーは少し進んでは階段に戻り、罠をしっかりと確認、できれば解除してから再び階段から攻略するということを繰り返して攻略していくしかないのかと考えていた。


「仕掛けを見破りながら進むフロアになりそうだってことだよな?」


 確認する様に言ったカイの言葉にその通りと頷くランディとローリー。


「ならこのフロアは俺たち忍の出番だ」


「どう言う事だい?」


 そう聞いたランディにカイが忍というジョブの特性について話始めた。


「忍のジョブ特性としてシーフに近い罠感知、探索の能力があるんだ。もちろん本職のシーフほど探索力があるわけではない。ただ忍が2人いるとシーフ1人分くらいにはなるんだよ」


 忍にその様なジョブスキルがあるとは知らなかった2人。ただ今の話を聞いていると罠のフロアも攻略できそうな気がしてきた。話をしたカイによれば忍として強くなれば罠感知の能力もアップするらしい。


「今の話を聞いて光明が差してきたぞ。今日はこのまま地上に戻るが次はカイとケンに前を任せていいか」


「任せろ。今までは世話になりっぱなしだった。ここらで少し貢献しないとな」


「その通りだ。ただ罠の解除は100%できる訳じゃない。そこは覚えておいてくれ」


 ケンが言ったがローリーとランディの2人は罠を見つけられるだけで攻略の難易度がグッと下がると話をする。


「とりあえず上に戻ろう。明日と明後日は休養日にして明後日の夜にもう一度打ち合わせをしよう」


 ランディの言葉で全員が40層クリアを記録すると石盤を使って地上に戻っていった。



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