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第30話


 地獄のダンジョンと呼ばれている難攻不落のダンジョンも他のダンジョンと同様に低階層ではそれ程攻略の難易度が高いという訳ではない。もちろん他の普通のダンジョンの低層よりはずっと厳しいが。地獄と名がついている理由は中層から下層になると1層降りる事に難易度が跳ね上がることに由来している。徐々に厳しくなっていくのではなくフロアごとに一気に難易度が上がっていくのだ。


 従ってここ火のダンジョンも20層あたりまではランクAの中位程度の冒険者なら降りていけるレベルにある。多くの冒険者達が20層を中心にして金策をしているのはそこそこのアイテムが出ることとここから先の難易度が跳ね上がるのを知っているからだ。


 ランディ、ローリー、カイ、ケンの4人は翌日1日で予定通り20層まで降りてきた。これ自体異常なスピードだがランディの盾、ローリーのローブ。それに4人の戦闘スキルの高さは1日で11層から20層を1日で攻略するに十分なものだった。


 2日目になると初日よりも4人の連携が良くなっていく。19層、20層は金策狙いのパーティがいたこともあり魔獣の数が少なく比較的短時間でクリアすることができた。


「ここまでは予定通りだ。暑さもまぁ予定の範囲内だろう。ただ24層、25層辺りからは気を引き締めていかないといけない。難易度がアップすると考えていてくれ」


 地上に戻ってダンジョンから東の島の宿のあるエリアまで戻ってきた4人。市内にあるレストランで夕食をとりながら打ち合わせをしていた。


「龍峰のダンジョンもそうだったのかい?」


 カイが食事の手を止めて向いに座っているトゥーリアの2人に聞いてきた。


「そうだな。25層くらいから難易度が上がったよ。50層としてちょうど半分だ。ここがまず攻略の壁になる。ここで躓くパーティが多いんだ。そして何とかそこを乗り越えると次は30層の壁がある。30層から下は一瞬でも気を抜いたらやられると思っていた方がいい」


 ランディの話を真剣な表情で聞いているカイとケン。彼らは正直20層まで来ていて想像より容易かったと感じていた。ただ今目の前の2人によると20層はまだ簡単なフロアらしい。ツバルの冒険者ならそんな発言はできないだろう。今日クリアした20層すらクリアできないAランクのパーティがいくらでもいる。


「30層から下は1日で1層クリアできたら良いと思った方がいい。場合によっては攻略に数日、いや数週間かけることもあるんだ。これはそのフロアに慣れるのと相手をする敵にも慣れるという2つの意味がある。遮二無二突っ込んでいったら碌な結果にならない。じっくりと腰を据えて攻略するつもりだよ」

 

 そう言ったローリーに顔を向ける2人。ケンとカイは実際にダンジョンに挑戦し始めて目の前で今話をしているローリーの優秀さに舌を巻いていた。前衛3人で後衛が1人なのだが全く不安がない。強化、回復、治癒、そして精霊とまるでマシーンの様に常に的確に魔法を使ってくる。そしてその魔法の威力も見たこともないほどだ。


 ツバルに来る時の船の上で半魚人を倒した精霊魔法を見てびっくりしたがダンジョンに入るとあの時ローリーが言った言葉が嘘じゃないと理解した2人。ただ恐らくまだ20層くらいならローリーは本気の魔法を撃ってはいなんだろうなと2人で言い合っていた。


 カイがローリーの魔法の威力を褒めるとそれを聞いたランディが言った。


「ローリーは特別だよ。魔法の盛んなトゥーリアでも彼クラスの魔法使いはまずいない。カイとケンも昨日今日でわかったと思うけどこいつは1人で後衛2人分、3人分の働きをするからな。そして魔力量も底なしときている。ローリーがいなきゃダンジョン攻略は無理な話だよ」


 ランディの言葉に全くその通りだと頷く2人。褒められたローリーは照れた顔をした言った。


「まぁ無理はせずに攻略しよう。ダンジョンは逃げないしな、競争じゃない。最後に最下層に立てればいいんだ」


 打ち合わせが終わって彼らと別れた後ランディとローリーはランディの部屋で話をしていた。


「忍の2人は予想以上にできる奴らだな」


 ランディが言った。部屋でジュースを飲みながらの会話だ。2人共お酒は飲めるが深酒をするタイプじゃない。少しでも翌日に酒が残ってたせいで普段ならしないミスをする可能性があることをわかっている。特に今挑戦しているのが地獄のダンジョンだ。あそこは二日酔いの冒険者を生かして帰すほど甘くはないと言うことを知っている2人。


「ああ。俺の想像以上だよ。ランクAの忍ってことで元々のレベルが高いんだろうけど2人とも見事な二刀流使いだ。しかもその上にダンジョンをクリアしたいという気概もある。奴らと組んで良かったよ」


「全くだ。腕も立つし性格も悪くない。戦闘に集中できるってのは大事だよな」


「その通りだ」



 翌日から21層の攻略を開始した4人。1日で22層までクリアしたがここから先はアイテム狙いの冒険者達がいない。翌日1日で23層をクリアし地上に戻ってきた4人はその次の日を休養日とすることにした。


「絶対に無理はしない。これが俺たちのルールなんだ」


 地上に戻ってきて東の島の長期で抑えている宿の近くにあるレストランの中でパーティのリーダー役をやっているランディが言った。


「そのルールは正解だ。俺たちもそれに異論はないよ。疲れを残すとミスをしやすくなるからな」


「その通りだよ。だから明日は各自でリフレッシュして明後日に24層に挑戦しよう」


 そしてその場でこれからは攻略がキツくなるので2日ダンジョンに挑戦し1日を休養日とする2勤1休みのペースで攻略することにする。また休養日を利用して各自で薬品の補充や水の補充をすることにした。カイとケンはそれに加えて刀を研ぐという。


「ここ一番で俺たちの武器の刀が役に立たないなんてなったら洒落にもならん」


 武器を大事にして手入れを怠らない。一流の冒険者だと彼らの言葉を聞いて安心するローリーとランディ。



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