表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/158

第141話


 ランディらが大森林のダンジョンの40層のフロアを攻略している頃、リゼの街ではドロシーらが龍峰のダンジョンを攻略していた。


 ネフド砂漠を横断しトゥーリアのリゼに戻ってきた彼女達。流砂のダンジョンのボスを倒した功績で全員がS級に昇格する。リゼのギルマスのダニエルは流砂のダンジョンをクリアした2パーティの詳細を聞いており、間違いなく地獄のダンジョンをクリアしていると確認するとすぐに5人のS級申請をするとそう時間が経たずに大陸中のギルドから承認される。


 そして彼女らがリゼに戻ってきたタイミングで正式にS級冒険者となり、所属しているリゼのギルドから新しいギルドカードを手渡した。ドロシーらはリモージュのギルドが発行したダンジョン討伐証明書を出してからの申請だと思っていたがリゼに戻るとすぐにS級にランクアップしたと聞いて逆に驚いてしまう。


「ドロシーらが流砂のダンジョンをクリアしたのはすぐにニュースとして入ってきていたからな。事前に書類を申請しておいたんだよ。これでリゼ所属の2パーティがSランクになった。トゥーリアのギルドとしても鼻が高いぞ」


 カードを一人一人に渡しながら言うダニエル。


「ランディらの後塵を拝してるけどこれは素直に嬉しいね」


 リーダーのドロシーが言うと全員がそうそうと大きく頷いた。後塵を拝していると言うが先駆者がいるからと言って誰もが地獄のダンジョンを攻略できる訳ではない。


 S級になった彼女達はまずは溜まっていたクエストをこなしながら体を動かしていた。流砂のダンジョンで手に入れた装備が素晴らしく以前よりもずっと効率的に敵を倒すことができる様になっていた。


 リゼのギルドでも彼女達5人がS級になったのは皆知っており仲間達が祝福してくれる。そんなバタバタした時が過ぎると活動を再開した5人。クエストをこなして身体を十分に慣らした5人はリゼのクエスト消化状況が落ち着いたこともあり41層で中断していた龍峰のダンジョンの攻略を再開する。


「45層まではドラゴンのサイズは小さい。ここで手こずる様じゃ攻略は厳しいわよ」


 ケイトが全員の気持ちを引き締めてから龍峰のダンジョンの42層に飛んだ5人。ネフドに行く前はギリギリなんとか41層をクリアした5人だったが流砂のダンジョンでしっかりと鍛えてスキルを上げ、さらに装備関係を充実させた今は今までの苦労が何だったんだと言うほど順調に42層を攻略して43層に降りる階段を見つけた。


 ダンジョンからリゼに戻った5人は市内のレストランの個室で夕食を摂りながら今日のダンジョン攻略を振り返る。


「装備が変わるだけでここまで差が出るとはね。今までの上のフロアでの苦労は何だったんだろうという感じよ」


「カリン、装備はもちろんだけど私たちのスキルもかなり上がってる。気が付かないうちにしっかりと鍛えられてるみたいよ」


「ドロシーが言った通り。流砂のダンジョンをクリアしたことと装備が充実してきたので楽になってるのは間違いないわ。でもだからと言って油断しないでおきましょう。地獄のダンジョンの下層にいるのを忘れない様にしましょう」


 ケイトの言葉に気を引き締める5人。とは言え自分たちが想像以上に強くなっていたのが実感できているので全員の表情は明るい。ランディらとアライアンスを組んで彼らの戦闘のやり方、フロアで気を付けるべき点などを学んだ彼女達。自分たちに足りないものをしっかりと吸収し、ものにするあたりは流石に上位の冒険者だ。


 食事が終わって5人が共同で借りて住んでいる一軒家のロビーでお茶を飲んでいる時にケイトが言った。


「ここのダンジョンは力技でいけるとローリーが言ってたよね。つまり真正面からぶつかって進んでいく戦闘スタイルでいけると言うこと。戦闘が続いて体力はかなり消費すると思うからしっかり休みをとりながらいきましょう」


 リゼではS級になった女性5人組を周囲の冒険者達が注目している。彼女達が流砂のダンジョンをクリアしたのは知っており、さらにここリゼで龍峰のダンジョンに挑戦しているのも知れ渡っていた。


 44層まではドラゴンのサイズは小さめだと事前に聞いていた彼女達。43層、44層と大きなトラブルもなくクリアしていき45層に降りる階段を見つけた。階段の先から見える45層は今までよりも天井が高い空洞状になっている。そして体長10メートル前後のドラゴンが徘徊しているのが目に入ってきた。空を飛んでいるのは見えない。


「いよいよね」


 前を向いたままドロシーが言った。ここからが龍峰ダンジョンの最深部だ。全員が目の前の風景をしっかりと目に焼き付け、転送盤を使って地上に戻っていった。


「火を噴くからタゲはドロシーがしっかりとキープ。私とシモーヌ、そしてカリンはタゲが完全にドロシーに固定するまでは攻撃を控えて。ルイーズはドロシーのフォローを。リンクすると厄介だからできるだけ広場の壁の方に引っ張って戦闘しましょう」


 自宅で打ち合わせをする5人。戦闘時のフォーメーション、あとは水や食料の買い付けの担当を決める。5人全員が以前の自分たちと違って強くなっていることを自覚しているが同時にその慢心が事故につながることもよく知っていた。自分たちを第三者の目で冷静に見ることができるからS級なのだ。


 2日間の休養を終えた5人は45層の攻略を開始した。ここで躓く様ではボスドラゴンを倒すことはできない。ノーマルサイズになったドラゴンが1体5人に襲いかかってきた。すぐにドロシーが挑発スキルを発動してタゲをとりながら壁際に移動する。


 ルイーズがその近くで強化魔法、回復魔法のフォローに入った。他の3人はドラゴンの周囲に立っている。攻撃したいが今はまだ早い。


 ドロシーは盾を上手く使ってしっかりと攻撃を受け止めている。


「ドロシー! 大丈夫?」


「問題ないわよ。平気だよ」


 見ていても安定感がある。そろそろ大丈夫だろうとケイトが声を出して3人がドラゴンの左右から剣と弓で攻撃を開始した。一気にドラゴンの体力を削っていきそう時間をたてずに討伐に成功する。


「大きくてびっくりしたけどやるべきことをやればいけるね」


「その通り。この調子で行きましょう」


 そう言い合った5人は壁沿いにフロアの奥を目指して進んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ