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第27話 勧誘 その1

校舎も決まったし、後は生徒だな。

まともに教育を受けていない可哀相な子供達、まってなさい。

俺が学校に行けるようにしてあげるからね。

 学校の無いアント領の子供達の為に学校をつくる事にした健一。

 校舎は無許可だが領主の屋敷を(健一の独断で)利用する事に決めたので、後は入学する生徒を募集するだけ! なのだが……



「健一先生、生徒の勧誘ってどうするんですか?」


 鼻歌交じりで前を歩く健一にアレスが当然すぎる質問をする。


「そんなもん、声をかければいいだけだよ」


 健一の返答に顔が曇るアレス。


「ほらね、何も考えてないコイツ」


「コイツとか言うのやめろアリサ。

 人を小馬鹿にしたようにコイツとか言うの良くないぞ。

 人を馬鹿にするってのはな、品が無いし、程度が知れるってもんだ。

 全く、お前は本当に底なしの馬鹿なんだから」

「じゃあ人を馬鹿にしてるアンタも底なしのバカなのね」


「ぷっ ……失礼」


 アリサの返しにアレスが噴き出しかけたが、鬼の形相の健一を見てやめた。 


「ねぇ、本当に声かけるだけで大丈夫なの?」


「僕もアリサが言うように、そんな簡単にいくと思えませんが……」 


「まぁまぁ、お二人さん心配しなさんな。

 子供達は教育を受けたいに決まってるじゃないか。

 楽しく学び、楽しく遊ぶ。

 それが子供ってもんよ!

 誘ったら喜んで学校行きたいって言うに決まってるじゃない」


 不安そうな二人とは対照的に、何の心配も悩みもなさそうな健一が答えた。


「そんなもんですかねぇ」


 アレスが不安そうに言ったが、健一が走り出した。


「なんで?!」


 突然走り出した健一、アリサは発作か何かかと驚いた。

 アリサとアレスは突然走り出した健一を呆然として見ていたが、次の行動で理解した。

 健一が子供の前で立ち止まり何か話をしだしたからだ。

 早速勧誘を始めたのか? その様子を眺めるアリサとアレス。


「……」

「……」

「何を話しているんだろう?」

「さあ」

「……」

「……」

「アレス様、子供が完全に引いてますね」

「どう見ても不審者に声をかけられてる子供って感じだね」

「……」

「……」

「あっ」

「ちょっとアレス様、あの馬鹿子供の手を掴んで強引に引っ張ってこようとしてますよ!」

「子供が大声をだしてるし!」

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫な訳あるか! 行くぞ、アリサ!」


 何やら強引な勧誘をしている健一を止めに走ろうとしたアレスとアリサだが、反対側から大人が凄い形相で走ってくるのが見えた!と思った次の瞬間、その大人に健一がぶん殴られていた。

 このままあの場所に行って、領主のご子息であるアレス様に何かがあってはいけないと考えたアリサは、健一の元へ向かっているアレスを止めた。


「いけません、アレス様!

 あそこに行っては、巻き込まれてアレス様がお怪我してしまいます!」

「い、いや、でも、健一先生が ……あぁっ、蹴られてる!

 放せ、アリサ!」

「放しませぬ!

 領主ダモン様にお仕えする私が命に代えてアレス様をお守りいたします!」

「ありがとう。

 いや、そうじゃなくて凄い蹴られてるから健一先生が!」


 揉めるアリサとアレス……


 だが、その時である!


「キェエエエ!!!」


 大きな奇声を発しズタボロの健一が暴力をふるっていた大人を突き飛ばしたのだ!

 そして即ダッシュ。

 アレス達の方へと向かって走り出したのだ!


「この野郎、待ちやがれ!」


 当然の如く大人ももれなく走ってきた。



「ちょっと! なんで助けてくれないの?! ヒィィッ!」


 アレスに声を上げた健一だが、暴漢が迫ってきたのでアレスの後ろに回る。


「おいっ! 坊主、その誘拐犯をこっちに渡せ!」


 先程迄健一を殴る蹴るしていた大人が声を荒げるが、アレスの前にアリサが立ちふさがる。


「待ちなさい。

 貴方、このお方に向ってその口の利き方は何ですか?」


「何だ、この女!

 この坊主がどうしたって…… はっ!」


 アリサに止められた大人がアレスの顔をじっと見る。

 ワンクッションあって幾分冷静さを獲り戻していた彼がアレスの顔をみて何かに気づいたようだ。


「ア、アレス! いや、アレス様!

 も、申し訳ございません!!

 しかし、そこの男が、うちの倅を誘拐しようとしやがったんでさぁ」

「誰が誘拐なんかするか!」


 謂れのない誘拐犯のレッテルに健一が言い返したが、睨まれたのでアレスの後ろに隠れる。


「この男は、僕の先生で、そんなに悪い人じゃないから許してやってくれ」

「いや、アレス様しかしですね」

「僕の言う事が聞けないって言うの?」


 引き下がらない男にアレスがいうと、男は黙り込んだ。

 黙り込むだけではなく、少し怯えたような表情になっている。


「心配いりません。

 アレス様は、前のアレス様と別人のようになられましたから、貴方もあなたの息子さんも何かお咎めがあるという事はありません。

 今日は授業の一環で屋敷を出てまいりましたが、貴方方にご不快な思いをさせて申し訳ございません」


 アリサが頭を下げる。

 男は、???とアリサとアレスを交互に見て戸惑っているのが傍目からみても分かった。


「……まあ、以前の僕は少々度が過ぎていたようだし…… すまん」


 頭を下げるアレス。


「何だお前、町の皆さんに何か迷惑かけてたのか?

 前のお前なら全然以外でも無いが…… 全くしょうがない奴だな。

 おい、お前。

 コイツを許せなんて言わないし言えないだろうけど、これからのコイツを見て判断してやってくれ。

 まともな教育や環境じゃなかったから捻じ曲がってたけど、少なくとも人様に迷惑をかけるような事が無いように教育してる真っ最中だから、うん。

 今まで、コイツが迷惑をかけて申し訳なかった」


 健一も頭を下げた。


「……いや、俺も倅が誘拐されたと思って、少しやりすぎたかもしれませんし」


「確かに! よく状況も解らねぇ癖に」

「健一!」

「……気にしなくていいです」


 強めにアリサに言われた健一はそれ以上何も言わなかった。

 そして、男は健一に誘拐されそうになった息子の元へと帰っていった。



「さて…… 健一。

 あんた、何してるのよ?」

「勧誘って強引に屋敷に誘拐するって事ですか?」


 アレスとアリサに詰め寄られる健一。


「ち、違わい!

 あのガキが楽しいとこだから学校に行こうって誘ってるのに、人の話も聞かないで逃げようとするから手を掴んだんだよ。

 それで、同年代のお前がいれば安心すっかなって思ったし、アリサから屋敷は良いとこだって言ってもらおうと思ったんだけど、全然お前ら近くに来ないから!

 こっちからお前らの場所までガキ連れてこうと思ったんだよ!

 そしたら、ガキの親父がきてボコボコ、ボッコボコにされました!」


「図々しい。

 何、被害者面してんのよアンタ。

 第一、勧誘するって言いだしたのアンタでしょ?」

「そんな非協力的なの、どうかと思うぞ。

 アリサ、アレス。

 俺達三人の夢、学校づくりの為に一致団結しないでどうすんだ!」


「え?」

「は?」


 いつの間にか学校づくりが皆の夢にされている事に驚きを隠せないアレスとアリサ。


「一度の失敗でクヨクヨするな!

 次だ次。

 ガンガン勧誘して生徒を集めるからな! 俺について来い!」


 無駄にやる気のある健一がアリサとアレスを鼓舞して歩き出す。

 もう帰りたい気持ちでいっぱいの二人だが、心底うんざりした表情になりながらも健一についていくのだった。

酷い目にあった。

暴力でどうこうしようって思考が意味わからない。

教育を受けていない弊害なのかもな。

馬鹿二人を連れて生徒の勧誘するのも大変だが、リーダーである俺が頑張らないとな。

って事で、次回もお楽しみに。

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